養子と里子の違い
ここで養子、里親の区別を簡単に説明します。
養子には2種類あり、「普通養子縁組」は年齢制限はありません。対する特別養子は「原則6歳未満」が対象です。この場合は養親からの離縁はできず、実の親は親権を放棄します。戸籍にも実子と記載されます。この記事は養子で子育てをしたい人のために書いているので、以降はこの「特別養子縁組」を養子と思って下さい。
さらに「里親制度」があります。養子縁組との違いは、戸籍上の親子関係、親権が生じるかどうかです。里親は親戚などに委託される私的里親と、国と地方自治体から児童を養育するのに充分な養育費と里親手当てを受給して、児童相談所から委託された要保護児童を養育する「養育里親」「専門里親」などがあります。また地域によっては「週末里親」などの制度もあります。
「私たちは赤ちゃんを抱っこしたいんです。なぜ大きな年齢の子どもの話や里親が関係あるのですか?」
という方、ちょっとお待ちください。実はこの話は重要なのです。まず赤ちゃんを養子にするのは、なかなか競争率も激しく、厳しい条件があること、そして養子がほしいと思った方はまず行政の「里親登録」をすることが望ましいからです。
この問題に詳しい特別養子縁組の情報支援をする“ハッピーゆりかごプロジェクト”メンバーの大葉ナナコさんは、「養子がほしいと思った親がまずすることは?」という問いにこう答えてくれました。
「まず、特別養子縁組あっせん団体が、養親候補の方から相談を受けると、行政の里親登録をしているかを聞きます。年収や前科がないかなど、子どもを託してよい夫婦かを確認されるのです」
養子はどこからもらうのかというと、私的な関係から、または民間のあっせん団体、児童相談所などがありますが、民間のあっせん団体でも「里親登録」をしているかどうか確認します。確認しない団体もありますが、むしろ「里親登録を求める団体は良心的」ということです。行政のおすみつきで「子どもを託しても大丈夫」という意味があるからです。まずは里親の会などに通って体験者の話などを聞き、意志があれば面接を受けます。里親にふさわしいと判断されれば、家庭訪問、研修等を経て、週末里親として子どもを委託される役割を求められることもあります。養子目的の人が多いのですが、里親としての役割が果たせるかどうかも、登録への判断材料になるようです。
養子縁組は子どもの福祉という観点ですから、子どもを託すにふさわしい環境かどうかは厳格に審査されます。