「たんぱく質ファースト」を守る
ラーメンがうどんやおにぎりよりも血糖値が上がりにくい構造を持っていることは、お分かりいただけたと思います。とはいえ、油と具が入っているからといって、無防備に麺をすすっていいわけではありません。インスリン分泌能力がもともと弱い私たち日本人が、ラーメンを一生の友として安心して付き合っていくためには、第2回でも触れた「たんぱく質ファースト」を、より厳格なルールとして実践する必要があります。
この「たんぱく質ファースト」こそが、膵臓が疲れやすい日本人にとっての命綱です。
とにかく「麺の前に具を胃に入れる」。この鉄則を守るだけで、食後の血管へのダメージには天と地ほどの差が出ます。
この食べ方は、地域医療や高齢者医療の第一人者である鎌田實先生も積極的に勧めている方法です。鎌田先生は、毎食しっかりたんぱく質を摂る習慣が、血糖値対策に留まらず、サルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(虚弱)の予防にもつながり、結果的に健康寿命を延ばすと強調されています。ラーメンの具から先に箸をつけることは、まさにこの健康長寿の秘訣を実践することにほかなりません。
一口目は「チャーシュー」か「味玉」で
ラーメンが運ばれてきたら、湯気の立つ麺をすすりたい気持ちをぐっとこらえ、まずはトッピングのチャーシューや味玉をゆっくり味わってください。スープにも動物性たんぱく質が含まれているため、ひと口すすってから麺に進むのもお勧めです。
サイドメニューの餃子を先に食べるのも非常に有効な戦略です。もちろん、「具材を全部食べ切ってから麺を食べよ」という堅苦しい話ではありません。野菜があればベストですが、なくても問題ありません。「肉と卵が先」。このたった一つの作法を守るだけで、ラーメンは血糖値を乱高下させない優等生的な食事へと変わります。
「糖質は悪者」と決めつけて排除するのではなく、脂質やたんぱく質という仲間と一緒に、正しい順番で賢くいただく。それこそが、日本人が健康を損なわずに糖質を楽しむための、唯一にして最大の秘訣なのです。
(参考文献)
・食品メーカー公表の原材料・成分表(編集部調査)
・鎌田實『医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術』(アスコム)
・和田秀樹『60歳すぎたら血糖値は下げなくていい』(永岡書店)
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。幸齢党党首。立命館大学生命科学部特任教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、40年にわたり高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
