脂質とたんぱく質が吸収を遅らせる

対照的に、ラーメンには必ずスープの脂質が含まれています。また、トッピングのチャーシューや味玉にはたんぱく質が豊富です。実は、これら脂質とたんぱく質には、胃の排出機能を遅らせるという重要な働きがあります。

つまり、油や肉と一緒に炭水化物を摂ることで、糖質が胃の中に留まる時間が長くなり、小腸へ少しずつ送り出されるようになるのです。たとえるなら、素うどんがジェットコースターのように一気に血糖値を上げるのに対し、ラーメンは脂質やたんぱく質という重りを背負ってゆっくり坂道を上っていくようなイメージです。

さらに、麺そのものの性質にも、血糖値を上げにくい理由があります。それが、食後血糖値の上昇度を示すGI値(グリセミック・インデックス)です。一般に、精白米やうどんはGI値が高めの食品に分類されます。うどんのGI値は調理方法によって幅がありますが、条件によっては70以上になることもあります。

一方、ラーメンに使われる中華麺は60前後と中程度の食品に分類されます(図表1)。これは、中華麺特有のかんすいによって小麦のたんぱく質が変性し、うどんやパンに比べて消化吸収がゆっくり進むためです。

血糖値の乱高下は“病気のもと”

このように麺の特性に加え、脂質とたんぱく質による胃の排出遅延効果(ブレーキ)が加わります。このダブルの効果があるからこそ、ラーメンは単体の炭水化物メニューよりも血糖値スパイクを起こしにくい食事なのです。麺だけを取り出し「糖質だからダメ」と決めつけるのは、木を見て森を見ない発想です。この逆説的な真実を知っておくだけで、メニュー選びの視点が大きく変わるはずです。

では、なぜ血糖値スパイクを防ぐことがこれほど重要なのでしょうか。

食事によって血糖値が急激に上がると、体は処理が追いつかず、血管の内側を傷つける活性酸素が増えます。これが動脈硬化を早め、将来的な心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることが分かっています。

また、急上昇した血糖を下げるために大量のインスリンが分泌されると、体には連鎖的な悪影響が生じます。インスリンは血糖値を下げますが、その急激な作用で低血糖に近い状態を引き起こし、強い眠気やだるさといった不調を招きます。同時に、インスリンには余った糖を脂肪に変えて蓄える働きがあるため、過剰な分泌は必然的に「太りやすい体質」へとつながってしまうのです。

近年では、血糖値の乱高下そのものが脳の炎症を促し、認知症リスクに関わる可能性も指摘されています。こうした理由から、「どの食品を食べるか」だけでなく、「どう食べるか」が健康と若さを守るうえで大きな意味を持つのです。