「自分はダメ」の思い込みが悪循環を生む

ドラえもんは、恋をするとすっかり「ダメダメちゃん」になってしまいます。漫画にはこんなシーンがあります。

ドラえもんは、白いネコに恋をしました。恋わずらいで上の空になり、昼間からゴロゴロ。食欲がないと言いながら、のび太の分まで平らげてしまうほど、すっかり様子がおかしくなっています。

ドラえもんは、ネズミに耳をかじられたことを気にしていました。デートの前には、ボール紙で作ったつけ耳を試してみますが、どうしても気に入りません。

「デブはいやだって。風船みたいな顔は、きらいだって」

そう思い込んでしまい、「ぼくはもう、こわれてしまいたい」と、すっかり落ち込んでしまいます。そこで、のび太は恋のアドバイス役を引き受け、相手を引きつける話し方を教えます。しかし、何度練習してもドラえもんは自信を持てません。

「やっぱりぼくなんか」

そう言って、六本のダイナマイトに火をつけようとするドラえもん。それを止めたのび太は、こう励まします。

「話しなんか、どうでもいいさ。口先よりま心だ。いちばんいけないのは自分なんかだめだと思いこむことだよ。自信を持て! ぼくは世界一だと!」

てんとう虫コミックス ドラえもん 第7巻』小学館 第5話目「好きでたまらニャい」

苦手なことに向き合うと、自信をなくしてしまうことがあります。ドラえもんはロボットですが、人間と同じように自信を失い、思うように行動できなくなっていました。本来の力を発揮できず、失敗してさらに自信を失ってしまう――。そんな悪循環にはまると、抜け出すのは簡単ではありません。

「自分の評価」を信頼できる人に聞いてみる

では、私たちはなぜ自信をなくしてしまうのでしょうか。

横山泰行『ポケット版「のび太」が教えてくれたこと』(アスコム)
横山泰行『ポケット版「のび太」が教えてくれたこと』(アスコム)

実は、人から否定されたからではなく、自分で「どうせ私なんかダメだ」と思い込んでいるだけの場合が少なくありません。本当に誰かにそう言われたのでしょうか? 自分で勝手に決めつけているだけではないでしょうか?

これは、仕事だけでなく子育てでも同じです。「理想の親像」や「理想の自分」と比べて、「できていない」と思い込み、自信を失っていることはないでしょうか。こうした思い込みは、多くの人に共通するものです。私自身も例外ではありません。だからこそ、自信を失ったときは、まず「思い込みかもしれない」と考えてみることが大切です。

自分の評価を信頼できる人に話してみるのもよいでしょう。

「ええ? そんなことないんじゃない?」

そんな一言で、自分が必要以上に自分を低く評価していたことに気づけるかもしれません。自分を客観視できなくなったときは、周囲の目を借りることも、自信を取り戻す助けになるのです。

横山 泰行(よこやま・やすゆき)
富山大学人間発達科学部名誉教授

1942年岐阜県生まれ。1976年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。フルブライト交換留学生(ペンシルベニア州立大学)。富山大学人間発達科学部名誉教授。生涯スポーツ論専攻。教育学博士。ドラえもんアナリスト。登場人物が夢や悩みにどのように対応し、解決したかを考え、人生を豊かにする方法を模索する「ドラえもん学」を研究。主な著書に『「のび太」という生きかた』『「のび太」が教えてくれたこと』『「スネ夫」という生きかた』(アスコム)がある。