高齢者の5人に1人が「やせすぎ」
老化による転倒をできるだけ遠ざけるために、忘れてはいけない大切な要素が「食事」です。体の機能や能力が目に見えて低下し始める50代以降は、老いや病気に負けない「体の基盤」をつくることが重要です。
そのために欠かせないのが、食事に対する意識の見直しです。医療や介護の現場において、転倒や骨折で運ばれてくる高齢者の多くは、筋肉量が落ちた「やせすぎ(低栄養傾向)」の状態にあります。
BMI(Body Mass Index)という、全身の体格を表す指標があります。
これは、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」という計算をすることで、自分の体の状態がかんたんにわかるものです。たとえば、身長155cm・体重44kgの人の場合、「44÷1.55÷ 1.55 =18.3」となります。
現在の基準では、以下のように分類されています。
●18.5以上25.0未満:標準体重
●25.0以上:肥満
このBMIを基にした厚生労働省の調査でも、高齢者の約5人に1人(約20%)が低栄養傾向=やせすぎであると警鐘が鳴らされています。筋肉や脂肪が不足し、低栄養が心配される人が多いのが現状なのです。そしてそれは、転倒リスク増加の要因にもなります。
粗食で短命に…たんぱく質の積極的な摂取を
そのため、高齢の方にまず意識していただきたいのは、「しっかり食べること」です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版および2025年版)」によると、65歳以上の高齢者の目標BMIは、フレイル(加齢に伴い心身が老い、衰えた状態)予防の観点から21.5~24.9とされています。身長が150cmの方なら48~56kg、160cmの方なら55~63kgです。
目標値に足りない方は、目標体重を定めて、体重あたり30~40kcalをしっかり食べるようにしましょう。「粗食は寿命を縮める」と思ってください。
食事をする際に気をつけていただきたいのは、食べて血糖値が上がるのを怖がらないことです。年齢を重ねると、血糖値を下げすぎることのほうが危険です。少し多めに糖分を摂ったとしても、筋肉をつければ血糖値は下がります。低血糖を避けて、元気に動くことを最優先してください。
食事内容で、もうひとつ意識していただきたいのが、たんぱく質を積極的に摂ることです。せっかく運動をしても、食事から必要な栄養を摂取できなければ、筋肉は十分につきません。筋肉量を増やし、筋力を高めるためには、たんぱく質の摂取が欠かせません。
特に、現在やせている方は、たんぱく質が不足すると筋肉がつかないだけでなく、貧血を起こす可能性もあります。意識して、毎日の食事に取り入れるようにしましょう。