上皇陛下も養子案を拒絶
もともと養子案に対しては以前、上皇陛下が拒絶しておられた経緯が知られている。麻生太郎内閣の当時、皇室典範第15条の改正を中心とした養子案が国会に提出される運びだったという(竹田恒泰氏ほか『なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか』令和3年[2021年])。
しかし平成21年(2009年)3月に麻生首相が上皇陛下(当時は天皇)に内奏した際、「快く思し召されなかったため」見送られることになったらしい。推進派の国会議員のひとりが事実の確認に行ったところ、当時の漆間巌内閣官房副長官(事務担当)が「陛下の(ご同意の)ご意思を確認しなければ準備を進めることはできない」と明言したとされる。
そこで、同案を進めていた関係者が三笠宮家の協力を得て、上皇陛下のご真意を確認すると、「内奏の折には皇位継承の話題が出たことはない」とのお答えを得たという。そこから「漆間氏の言が虚偽である」と飛躍する人もいるようだ。
しかし、今も養子案は“皇位継承”とは切り離されている。真正面から「皇位継承の話題」が出なかったとしても、それによって上皇陛下が養子案に不快感を示された事実が否定されるわけではない。
むしろ、漆間氏があえて上皇陛下のご真意をねじ曲げたとは、想像しにくい。また、仮にそのような不敬な振る舞いがあった場合、それをそのままお許しになる上皇陛下ではあるまい。
「女系」を容認されていた
上皇陛下のお側近くで長年お仕えした羽毛田信吾元宮内庁長官や渡邉允元侍従長が、口をそろえて安定的な皇位継承のために「女系天皇」の可能性を残す大切さを訴えている事実がある。その事実からしても、漆間氏の言明は上皇陛下のご真意に忠実だったと判断できる。
これについては、最近も宮内庁関係者の次のような証言が紹介されている(『文藝春秋』7月号)。