改正貸金業法による、「ローン・キャッシングの総量規制」がこの6月からスタートする。
心あたりのある人は、すでに対策に頭を抱えているかもしれないが、借金に縁のない人は「自分には関係ない」とタカをくくってはいないだろうか。
規制の目的は、もちろん多重債務者の増加を防ぐことだ。消費者金融の規制については、まず“サラ金地獄”が社会問題化した1980年代に貸金業法が成立して厳しい取り立てを制限。その後、2003年にヤミ金融対策法の施行、06年にグレーゾーン金利廃止、10年に今回の総量規制と続く。取り立て→金利→金額の順で、規制が強化されてきたわけだ。
今回の規制のポイントは、「ローンの借入総額を年収の3分の1までに制限する」「借入額が1社50万円、または複数社から計100万円を超える人は収入証明書(源泉徴収票などのコピー)を提出する」「クレジットカードについてはキャッシングが規制対象となり、ショッピングは対象外」の3つだ。
規制を受けるのは消費者金融会社、クレジットカード会社、信販会社などで、銀行や信金、信組は対象外。今回の規制では、住宅ローン、自動車ローン、個人事業用のローンなどは例外として対象外とされている。
ちなみに、クレジットカードのキャッシングは貸金業法の対象で金融庁の管轄、ショッピングは割賦販売法の対象で経済産業省の管轄だ。規制でショッピングが対象外とされるのには、そんな理由も隠されている。
総量規制で一番困るのは、間違いなく限度額以上借りている人だ。もし年収600万円の人に250万円の借り入れがあれば、収入証明書の提出はもちろんのこと、もう借り入れはできず、借入額が200万円を割るまで返済のみになる。借金を借金で返す自転車操業はアウトだ。