高齢者は「過敏性鼻炎」「副鼻腔炎」に注意

くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状がある場合、70代以上の方であれば「過敏性鼻炎(血管運動性鼻炎)」である可能性が高いでしょう。過敏性鼻炎の原因は、温度差、湿度、化学物質、臭いなどいろいろです。このような原因に鼻の粘膜が過敏に反応して、鼻炎の症状が起こります。

アレルギー性鼻炎と症状が似ていますが、アレルゲンや免疫反応は関与しないので、IgE抗体などの検査をしても、異常が認められません。症状や誘因から「過敏性鼻炎」だと診断されることになります。

ただ、「アレルゲン(アレルギー反応を起こす物質)を遠ざける」ということ以外は、アレルギー性鼻炎と「過敏性鼻炎」の対処法は同じです。

また、高齢になってから、粘り気のある鼻水が止まらなくてティッシュが手放せなくなった方は、「副鼻腔炎」である可能性が高いと思います。それは、お年を召すと風邪を引きやすくなることと関係があります。加齢が原因で副鼻腔炎にかかる人はいませんが、風邪が遠因になって副鼻腔炎にかかる方はいるのです。

よわいを重ねると、鼻の粘膜が弱っていきます。また、鼻をかむ力も弱っていきます。そうなると、鼻水が出やすく、風邪も引きやすくなります。その風邪が長引くと、副鼻腔炎になりやすくなるのです。年代を問わず副鼻腔炎は治りにくいのですが、特にお年を召した方の「副鼻腔炎」は慢性化・重症化しやすいので、軽視できません。ですから、まずは鼻風邪を長引かせないことが肝要です。

鼻をかんでいるシニア男性
写真=iStock.com/PonyWang
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脳が“ヨボヨボ”に、生命の危機にも直結

副鼻腔炎になれば、匂いがわかりにくくなります。匂いは脳の活性化に寄与しています。逆から言えば、嗅覚を鈍いまま放置しておくと、認知症の発症や悪化につながります。また、匂いがわかりにくければ食べる楽しみも減ってしまい、これまた脳の活性化を弱めてしまいます。

つまり、嗅覚が落ちることは、認知症のサインでもあるということ。副鼻腔炎があって嗅覚が落ちているなら、副鼻腔炎を治して嗅覚を戻すことが認知症の予防になります。嗅覚に限らず、お年を召した方が鼻炎を放置しておくと、聴覚や味覚の悪化が若い人以上に加速します。

なにより心配なのは、慢性になった副鼻腔炎が「髄膜炎」を招くこと。髄膜炎は脳と脊髄を覆う髄膜に細菌やウイルスなどが感染し、炎症が起こる病気です。

また、鼻の中の粘膜が弱まると、副鼻腔炎の菌が鼻の中に残りやすく、その菌が全身に回って「敗血症」や「肺炎」になり、副鼻腔炎も重症化します。敗血症とは、細菌やウイルスなどの感染症が引き金になって制御不能な炎症が起こり、心臓、肺、腎臓などが障害される、生命に関わる状態です。

副鼻腔炎がこじれて髄膜炎や敗血症になり、命を落とされる高齢者は、年間に100人ぐらいいます。副鼻腔炎を早めに治療すれば、髄膜炎や敗血症を併発させる危険性を低め、認知症の発症や予防をすることができます。