ワーク・ライフ・バランスは古い!
それと、私がもう1つ提唱したいのが、「ファミリー・キャリア」という考え方です。
夫婦が2人とも働いていれば、双方とも「今が、頑張り時」というチャンスの時期が、それぞれにあります。そこをお互い補いあうという考え方です。
たとえば、私の友人には、こんな夫婦がいます。妻は自営業をやっており、ご主人は公務員というカップルです。
彼女たちは、お互い「頑張り時」を1年単位で、譲り合っていると言います。
彼女が仕事に集中したい1年は、ご主人が子育てや家事の主担当となり、子どもが熱を出して休まなければいけない時などはご主人が休む。
一方、ご主人の頑張り時は、彼女が本来やりたい仕事もセーブして、子育てや家事にいそしむというのです。
この方式なら、お互いがどちらの犠牲にもならずに、円満でいられると。なかなか、面白い発想なのではないでしょうか。
いずれにしても、人間は仕事もプライベートもひっくるめて1つの人生しか生きられないのですから、仕事とプライベートを、たとえば半々といった具合に、ぷっつりと分ける「ワーク・ライフ・バランス」という考え方は、現実的ではないと思います。
欧米では既に、「ワーク・ライフ・ブレンド」といい、ワークとライフがいっしょくたになった生き方(働き方)が提唱されつつあるとか。
確かに、私生活は仕事に大きく影響するし、その逆もまたしかりです。両者を真っ二つに分けて考えること自体が時代遅れ。
そんな気がしてなりません。
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。