「やればできるじゃん」の裏メッセージ

何かを達成した人に「やればできるじゃん!」と伝える。テンションが上がって、つい出てしまいがちな言葉です。もちろん根本には、相手の成功が嬉しいし、「ほら、やっぱり!」という気持ちがあふれているはず。

ただ、「やればできるじゃん」には「今までやってなかったでしょ?」という裏メッセージが潜んでいます。本人はずっと試行錯誤していたかもしれないのに、外から「ようやく行動に移したんだね」と言われた気持ちになることがある。

しかも、この言葉の奥底には「正直、半分はできないと思っていた」という本音が横たわっていることも……。その半信半疑は相手に驚くほど届いてしまいます。

相手が見せた成果の裏には、見えない時間が山ほどあります。うまくいかなかった日も、やめたいと思った日もあったかもしれない。それを知らずに「やればできるじゃん」と軽く言うと、「苦労を知らない人に評価された」と感じさせてしまうリスクがあるのです。

ところが「できると信じてたよ!」は、結果が出る前からの信頼を伝えています。「あなたの力があれば成功を遂げると思っていた」と言っている。結果だけでなく、プロセスまるごとを肯定しているから、相手は素直に嬉しいのです。

マスターしたい「嫌味のない褒め方」
出典:つみきち『知らない間に嫌われる言葉、話すたびに好かれる言葉』(サンマーク出版)

驚きを「感動」に変換して伝える

誰かの思いがけない一面を見て、「意外とやるね!」と口にする。これは「見直した!」というポジティブな驚きから出ている言葉でしょう。

ところが「意外」は、「もともとは期待していなかったけど」という前置きが含まれます。「意外と」は「普段はそうじゃないけど」と表裏一体の言葉だからです。

人によっては、「意外とおいしい」は「おいしくなさそうだったけど」、「意外とできるじゃん」は「できなそうだったけど」と聞こえてしまう。褒めているようで、実は“低い期待値”を先に出してしまっています。

そのため言われた側は「今までの自分はダメだと思われていたんだ」と受け取ることがあるのです。一瞬嬉しくても、あとからじわじわともやもやが広がる。頼んでもいないのに、評論家に勝手に酷評されたような居心地の悪さだけが胸に残ります。

それとは対照的なのが「すごいね、見惚れちゃった!」です。この言葉は、驚きを“感動”に変換しています。「すごい」はストレートな称賛、「見惚れた」は自分が圧倒されたことの表現。相手を下げる要素がどこにもない。驚きの気持ちは同じなのに、届き方がまるで違います。

驚いたときほど、素直に感動として伝える。それだけで褒め言葉は毒を持たなくなります。

「意外と」は失礼。ではどう言いかえる?
出典:つみきち『知らない間に嫌われる言葉、話すたびに好かれる言葉』(サンマーク出版)