要介護・要支援の認定率は70~74歳が6.3%なのに対して、75~79歳ではほぼ倍の13.7%に跳ね上がる。そして80~84歳では26.9%にもなり、4人に1人が認定される。また、認知症の発症率も70~74歳が3.6%なのに対して、75~79歳は倍の7.1%へ、80~84歳だと14.6%まで上昇する。
図5は都道府県別に見た10年と40年時点での後期高齢者の数。東京都は10年の123万4000人から40年には213万9000人に急増する。この数字に75~79歳の認知症の発症率7.1%を掛け合わせると、40年に認知症の人は少なくても15万1000人になるものと推測される。09年末時点で東京都には特別養護老人ホームへの入所待機者が4万3746人もいるが、今後さらに増えていくことになる。このほか年金や医療での給付も膨らんでいくわけで、都市部を中心に大きな問題になるのは火を見るよりも明らかだ。
しかし、13年8月に報告書をまとめた社会保障制度改革国民会議では、一部の高齢者の医療費の窓口負担の増加や、現役世代並みの収入のある高齢者の介護保険料の引き上げなどを提言しただけで、年金支給開始年齢の引き上げ、財源の範囲内で給付水準を自動調整するマクロ経済スライドの強化など、抜本的な改革は先送りしてしまった。