また、具体的な理由が挙げられて拒否される傾向があった大学には、右翼的かつ粗野なイメージと宗教色が強いイメージという2つの特徴があった。在学するだけで色眼鏡で見られるのを避けたいのだろう。ちなみに、入学させたくない大学として「早稲田大学」の名前が挙げられるケースがあった。早稲田大学は、入学させたい大学でも上位であるにもかかわらず「遊んでばかりいる」「あまりいい話題を聞かないから」など、一部の親からはいまだ過去のスキャンダルに対する反発感情があることが確認された。

入社させたくない企業として最も名前を挙げられたのは「東京電力」だった。東日本大震災以降の世情を反映しているのだろう。公務員と同じく規制に守られたお堅い仕事で、2010年までの調査であれば上位ランクインは当然だっただろう。「原発で働くことになったら怖いから」「モラルが低い企業であり、お役所体質に染まっているため」などの声が多数寄せられている。原発事故後の対応などの印象の悪さがアンケート結果に影響しているようだ。

業界でいえば、「消費者金融」や「パチンコ」も不人気だった。前者は「胸を張れる仕事ではないから」「危険・やりがいがなさそう」など、後者は「世の中の毒だから」「風紀が悪いから」などのコメントが寄せられている。個別の企業というよりも業界全体としてのイメージが心理的な抵抗感を生み出している。

さらに中小企業を拒否する傾向もあった。これは企業や業界としてのイメージの問題よりも切実な問題として、企業としての存続可能性が疑問視されている。自由記述には「不安定だから」「いつ潰れるかわからない」など、子どもの将来を心配する親の思いが反映され、雇用環境が景気動向に左右されがちな中小企業勤務への不安感は強い。

だが、子どもの就職についていろいろと口うるさい注文をつけつつも、子どもに入社させたくない企業という設問に対する最も多い回答は「特になし」。理由は「就職できればよし」など、どのような会社であっても子どもに働いてほしいという思いが伝わってくる。親自身もリストラの危機と向き合う中で「働けるなら文句を言うな!」という厳しい世相を反映しているのだ。

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