移民政策で重要となるのは、計画性とスペックである。景気がいいときだけ工場や工事現場に放り込んで、景気が悪くなれば解雇して知らんぷり。そうやって追い込んでおいてトラブルを起こせば「これだから外国人は信用できない」では、移民は定着しないし、移民に対する国民の理解も進まない。
たとえば年間30万人という目標を設定したら、そのために必要な仕掛けを割り出して、5年計画なり10年計画なりで、環境をしっかり整備する。
「どういう人材が必要か」というスペックも大事で、ドイツの場合、必要な350種の職種がハッキリ定義されている。
シンガポールやオーストラリアにしても、「わが国はこういうスキルを持った人材が欲しい」と世界にアピールして、人材獲得競争を展開している。のんびり待ち構えているだけで、良質な移民が集まるほど甘くない。世界の国は優秀な途上国の人材を奪い合っているのだ。
日本が抱えた問題を解決するためにどういう人材がどれくらい必要なのか、きちんと見定めて計画的に施策を打つ。
国家運営に支障をきたしてから、取ってつけたように移民を受け入れても、絶対にうまくいかないのは過去の苦い経験でもあり、世界各国の苦い経験でもあるのだ。