自分を変えるにはどうすればいいのか。日本認知科学コーチング協会代表理事の村岡大樹さんは「人間は『無自覚な信念』に基づいて行動している。そのため、『変わりたい』と意識するだけでなく、『信念』から書き換えていく必要がある」という――。

※本稿は、村岡大樹『自分の変え方』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

電気をつけていない寝室に座り込んで俯いている女性のシルエット
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無自覚な「信念」が、日々の決断を左右する

無意識とは、自覚しないまま心の中に存在する精神現象や思考、感情のことです。

その無意識の中に存在するものの1つに、「信念」というものがあります。

この信念は、あなたの日々の意思決定に非常に大きな影響を与えています。

信念は、認知科学の世界で「ビリーフ(belief)」と呼ばれています。

日本語では「信念を貫く」などの形で使われるため、自分で信じようと決めたもののように捉えられがちですが、ここではその信念とは違う意味合いになります。

「信念・ビリーフ」とは、自分でも気づかずに思い込んでいること、無意識的に信じていること、価値観、パラダイムといった意味で使われます。

よく耳にする「認知バイアス」などもここに含まれます。

例えば、外国人の友人とあなたが、日本の知り合いの家に遊びに行ったとき、外国人の友人がいきなり土足のまま家に上がり込んでしまったら、あなたは驚いたり、慌てたり、怒って注意するかもしれません。

1人ひとりの「当たり前」や「常識」は異なる

なぜあなたは、このような行動をするのでしょうか?

それはあなたの無意識の中に「家には靴を脱いで上がる」という信念があるからです。

一方、外国人の友人には「家には靴を脱がず土足のまま入る」という信念があるため、当たり前のように土足のまま家に上がってしまったのです。

他にも、男の子がピンクのランドセルを背負っているのを見て驚いたとしたら、あなたの中に「ピンクは女の子の色」という信念があるということでしょう。

少々熱があっても会社に行こうとするならば、あなたの中に「熱くらいで会社を休むのはありえない」という信念があり、お腹がいっぱいでも昼食や夕食を食べきろうとするならば、あなたの中に「ご飯を残してはいけない」という信念があるということです。

また、中国・朝鮮半島や東南アジアなどでは犬を食べる文化がありますが、犬を食べると聞いて、あなたはどんな感情が湧くでしょうか。

これらの事例からもわかるように、信念は、1人ひとりの「当たり前」や「常識」に深くつながっているのです。