金持ちに身請けされるのが遊女の幸せ、瀬川の値段は?

当時、人を雇う時に約束した年限(年季)は1年を1季とし、10年が限度(十年年季)とされていましたが、年季が明けて、苦界(遊郭)から抜け出ることができた遊女は多くはありませんでした。借金が多く、その借金を返すために年季が明けても、身を売り続けなければならなかったからです。「苦海十年流れて 二十七明けての夢 嗚呼これ蜃気楼」との一詩(太田蜀山人『千紅萬紫』より)がありますが、十年年季が明けても「苦海」から抜け出ることができない遊女の無念が心に迫ってきます。そうしたことを思うと、高級遊女となり、大金持ちに身請けされた遊女は幸せだったかもしれません。鳥山検校に身請けされた高級遊女・瀬川もその1人だったと言えるでしょう。

鳥山検校に身請けされた瀬川ですが、人々の耳目を驚かせたのは、彼が支払った金額でした。身請け金はなんと1500両。米の値段で換算した場合、1両は今の貨幣価値で6万3000円ほど。1500両は9450万円になりますから、すごいものです。