「アマテラス」はニックネーム
「アマテラス」だけ見ても「天照大神」「天照大御神」などいくつかの表記があります。神社にある由緒書には漢字で書かれている神様の名前ですが、今回は「音」を大事にし、カタカナで記しました。
ところで、神様の名前は「ニックネーム」だと、ご存じでしたか? たとえば、功績を称えたものや、性格などをうまく表現した愛称のような名前があります。
「アマテラス(天照大神)」は「天からこの世を明るく照らす神様」という性格を、「アメノタヂカラオ(天手力男命)」は「手の力の強い男の神様」という特性を、それぞれ表しています。漢字はあとから当てたものです。
そもそも名前は、なぜあるのでしょうか?
僕は、「名前とは、他人のためにあるもの」だと思っています。なぜなら、この世に自分しかいなければ名前は必要ないですもんね。
神様は目に映りませんから、「天からこの世を明るく照らす神様」というニックネームのような名前から思い浮かべる像は、人それぞれ違いますよね。
よく僕は、「一番尊敬している先輩が人それぞれ違うように、神様も人によって違うんだ」という話をします。だから、自分なりの想像力で神様と関わっていけばいいんです。自分なりの誠実さをもって。それが「ルールはないけどモラルはある」という神社のあり方にもつながります。
神様の名前から思うのは、自分も魅力や功績を表したニックネームをつけてもらえるよう人の役に立つことをしたり、人に感謝されるように生きていきたいなということ。多くの人に称えられている神様の名前にあやかって、後世に名を残せるよう、我々も自分の魅力や才能を発揮していきましょう。
神様が嫌うもの、好むもの
神社に上がるからには神様と仲よくなりたいですよね?
では、神様が好きなこと、嫌いなことを知っておきましょう。
まず、神様が嫌うものは「不浄(きれいではない状態)」です。不浄は疫病の原因になるからです。
昔の神社は、神様に祈ったり感謝を伝えたりしたい人たちが集まるコミュニティセンターのような場所でした。もしそこに疫病にかかった人が入ってきたら? 集団感染が起こり大変なことになります。ですから、「神様は不浄を嫌う」とされ、病原菌を神様のもとに持ち込まないよう人々は自重したのです。
一方、神様が好きなものは「常若」です。常若とは、神様の宿っているものを「常に若い(新しい)」状態にしておくこと。神様が宿る先は、おもに神社、御神札(お札)、お守りなどです。
これらが古くなれば、宿っている神様の力も弱ってしまうため、神様の宿る器を定期的に新しいものにして「常若」の状態を保ち、神様のエネルギーを若々しい状態に保っています。
伊勢の神宮は20年に1度、社殿を建て替える「式年遷宮」を行いますが、これも「常若」です。また、御神札やお守りは1年で古札納め所に返納し、新しいものに替えますが、これも「常若」です。
じつは、我々もふだんから「常若」を実践しています。外出後は手洗いやうがいをする、夜はお風呂に入る、毎日服を着替えることで健康を維持しています。そうです、「常に清潔でいる」ことのメリットは、人間も神様も同じ。
清潔でいることで病気を防ぎ、安心して気持ちよく暮らせる。当たり前のことですが、これも開運につながる行動です。