「やり込み要素の多い仕事」がマッチする人

発達障害の私たちは、自分に合う仕事を見つけることが大切です。合わない仕事に就いてしまうと、できない自分を責め、周りからも責められ、結局仕事を続けられません。

私は学生時代に数々のアルバイトをクビになりましたが、最も相性が悪かったのは、飲食店です。飲食店は、マルチタスクの真骨頂です。あちこちから、「すみませーん!」と呼ばれると、情報処理が苦手な私は対応できなくなります。何から手を付けたらいいのかわからなくなってパニックになり、トイレにこもってしまったこともありました。

結局、数々のミスを繰り返し、店長から「お前は社会不適合者だ!」と怒鳴られ、とぼとぼとお店を去ることになりました。そんな私ですが、ナレーターの仕事に就いて人生が変わりました。たった一人でマイクに向き合う仕事は、非常に相性がよかったのです。

1つだけ外れた紙くずが最適解だった
写真=iStock.com/phototechno
※写真はイメージです

ナレーターという仕事にはゴールがありません。監督からOKをもらえても、実際のところ「これで完璧!」ということがないのです。

ナレーターだけでなく、俳優さんや職人さん、作家さんなど、内なるものを表現する仕事全般に言えることですが、どこまで突き詰めても終わりはありません。私はこのような仕事全般を、「やり込み要素の多い仕事」というジャンルで捉えています。

やってみてワクワクしてきたら、相性がいい仕事

発達障害を持つ私たちは、自分が本当に好きだと感じるものに出会うと、周りの人が驚きを隠せないほどに、とことん追求していきます。私にとってのナレーションがまさにそれでした。

どこまでいっても終わりのない世界。それはとても魅力的です。映像クリエイター、ゲームプログラマー、ITエンジニア、イラストレーター、建築家、研究者……、やり込み要素の多い仕事はナレーター以外にもたくさんあります。

また、専門職でなくとも、例えば、歩合制の営業職や、会社を起業するなど、自分の力で切り開いていけるものなら、私たちは俄然やる気がわいてくるはずです。

仕事を選ぶ際の基準として、「やり込み要素の多い仕事」かどうか、一度想像してみてください。ワクワクしてきたら、相性がいい証拠です。