途端に、歯切れが悪くなる
現実には、その「税金が大変ではないですか?」との質問に、彼らは途端に歯切れが悪くなりました。
「いや、まぁね……でも、税理士さんに任せているので、よく分からないなぁ」
「まぁ、それなりに払ってはいると思うけど、税金は難しくて、よく覚えていないなぁ」
などと、それまでのテンポ良い口調は影を潜め、なんともスッキリしない返答ばかりでした。
そのような返答に、私は「それだけ稼いでいる人が、税金に無頓着なのはオカシイな」と思わざるを得ませんでした。
たしかに税金は難しいですが、自身の稼ぎを(それほどアピールできるくらいに)把握しているのなら、ある程度は納税額も分かっているはずですし、また、それだけ稼いでいるのであれば、節税の観点からも、自身の税金に無関心でいられるわけはないですからね。
考えられるのは、ウソか、脱税か……
そんな返答内容もさることながら、途端に早口になり、身振り手振りも不自然に大きくなる様には、少なからず違和感を覚えました。そして、そんな彼らの態度から、考えられるのは、おそらく、以下のいずれかだと判断しました。
1.本当はそれほど稼いでいない、つまり「稼いでいる」はウソ
2.税金をきちんと計算していない(申告していない、もしくは過少申告)、つまり脱税をしている
いずれにせよ、絶対にダメなことです。
中には、「稼ぎと税金とは、別問題ですよね」という謎の返答でかわされたケースもありましたが、税金に対するそのような意識は、論外ですよね。
もちろん、本当に稼いでいて、税金もしっかり納めている人もいるのでしょうが、少なくとも私は、そういった人には会えませんでした。というか、そのような人は、わざわざ稼いでいることをアピールなどしていないのでしょう。
いずれにせよ、稼いでいることをアピールしてくる人について、本当に稼いでいるかを知りたいときには、この税金を絡めての質問は、一つの方法として、知っておいて損はないかと思います。
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。