玄米の栄養価はすごいが、糠に農薬が残っていないかチェック

さて、栄養価の点では「玄米」は「白米」に比べ、ビタミン類は約2倍〜10倍、食物繊維は約6倍多いとされています。

ただ、玄米は糠がついており、糠の味と香りが強く出てしまうので一般的には食べにくいとされます。そこで、玄米ほどでなくとも、白米よりも栄養価が高く、白米のように食べやすいお米として「胚芽米」が販売されるようになりました。

玄米
写真=iStock.com/SetsukoN
※写真はイメージです

ただし、胚芽米も炊き上がりを食べると、甘味が出て美味しいのですが、冷めてしまうと糠臭さが出て食べにくくなります。なお、玄米も冷めると少し硬くなり、やはり食べにくくなります。

余談ですが、残った玄米や胚芽米はおにぎりにして保存し、後日焼きおにぎりなどにすると香ばしくて美味しく食べられます。

また、最近では「発芽玄米」というお米も聞くことがあると思います。発芽玄米は、玄米をわずかに発芽させたお米のことです。発芽させることで、玄米中の酵素が活性化されるので、栄養価は玄米以上にあるとも言われています。

芦垣裕『米ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)
芦垣裕『米ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

発芽玄米は、玄米を使って家で作ることもできますし、発芽玄米を作れる炊飯器も販売されています。味も良く美味しいのですが、雑菌などが入る場合があるので注意してください。

玄米や発芽米、分搗き米を買う時の注意点として、なるべく農薬を使っていないお米を選ぶことが重要です。

農薬のほとんどは糠につくと言われています。白米だと糠を除去してしまうので、理屈から言って農薬の影響はほとんどありません。しかし、玄米は糠に包まれたままで、農薬の影響を受ける可能性もあります。

せっかく栄養をたくさん蓄えても、農薬がついていたら食べるのを控えたいですね。お気をつけください。

芦垣 裕(あしがき・ひろし)
米・食味鑑定士、初音屋代表取締役

横浜で3代続く米屋の店主。水田環境鑑定士・調理炊飯鑑定士・おこめアドバイザー。取り扱うお米は、田んぼの自然環境までを自ら確認し、気に入ったお米のみ。米・食味分析鑑定コンクール国際大会の審査員を20年以上務めている。そのほか、お米日本一コンテストin静岡の全国大会、天栄米コンクール(福島県)、栃木県産米食味鑑定コンクール、飛騨の美味しいお米食味コンクールなど、多数のお米コンクールの審査員を務める。また、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」のお米特集をはじめ、フジテレビ「LiveNewsイット!」など、メディアでもお米に関するコメントを行い、お米の素晴らしさを伝えている。著書に『米ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)がある。