いまや45%の家庭が無洗米、なぜ洗わずに炊飯していいのか?
お米は、稲を育てて収穫をしただけでは、私たちの口に入れる形にはなりません。お米の身を穂から取り離す「脱穀」をして、外側の皮である籾を除去する「籾摺り」をした後、「玄米」の形になります。
そして、玄米には内側の皮である糠がついており、白米にするには糠を取り除く「精米」が必要になります。こうしてようやく白米ができるわけです。
このように、お米が私たちの食べる形になるまでには「加工」が必要になります。また、お米そのものを加工し、米粉や米油、餅、煎餅、日本酒といったものにもなります。さらには、白米を精製する過程で生じた稲藁、籾、糠といったものも様々に利用されます。お米にとって加工とは、切っても切り離せない工程なのです。
皆さんは、無洗米を利用されたことがあるでしょうか。利用されたことがある方は、無洗米がなぜ洗わなくて良いのかを知っているでしょうか。
通常、店舗で売られている精米されたお米は、精米機によって剥がされた糠(肌糠)が微妙に再付着している場合があるので、水で洗ったり研いだりする必要があります。肌糠が付いたままお米を炊くと、糠臭くて美味しくないご飯になってしまいます。
米糠を取り除く画期的な精米製法が、無洗米を可能にした
一方、1991年に誕生した無洗米は、洗ったり研いだりする必要がなくなりました。全国無洗米協会の調査によると、無洗米を購入する家庭は約45%だそうです。
改めて確認をしておくと、無洗米とは、お米を研いだり洗ったりしなくても水を加えるだけで炊飯できるように加工したお米のことです。このようにできるのは、精米後のお米の表面に付いている肌糠まで取り除いているからです。
今や無洗米の技術も進歩を遂げ、最新鋭の工場では、精米度合いの低い「分づき米」や「胚芽米」でも無洗米に加工できるようになりました。
では、具体的にどのようにして肌糠を取り除くのでしょうか。
まず、付着した糠を取る「BG精米製法」という製法があります。BGは、Bran(糠)Grind(削る)のことで、別名「ヌカ式」とも言われます。
精米したお米をステンレス製の筒の中でかき混ぜると、粘着性のある肌糠だけが金属壁にくっつきます。この肌糠に別の肌糠が次々と付着して無洗米が出来上がります。このほかにも、水で洗って乾燥させる方法やタピオカに肌糠を吸着させる方法、ブラシや不織布を使って肌糠を取る方法などがあります。