確定申告でしか受けられない3つの控除

残りの3つの控除は、年末調整での控除計算が認められておらず、確定申告が必要です。

「確定申告だけすればよい」のではなく、年末調整をしたうえで、確定申告をする必要がありますので注意してください。

【図表2】確定申告でしか受けられない控除
図表=筆者作成

見落としやすい控除は…

これらの控除で、見落としやすい控除を3つご紹介しましょう。

1.「所得金額調整控除」:共働き+子どもの世帯は要確認

まず1つめは、「所得金額調整控除」。この控除は、2020年分から導入されたこともあり、見落としている人が多いかもしれません。

所得金額調整控除の対象となるのは、①給与が年850万円超で、23歳未満の子どもなど扶養親族がいる人(※)、②公的年金や企業年金を受給しながら給与所得もある人です。②のケースは確定申告でのみ申告が可能ですので、ここでは割愛します。

①の控除額は「(給与収入-850万円)×10%」で計算され、上限は15万円です。仮に所得税率が20%、住民税が10%とすると、所得税で3万円、住民税で1万5000円、計4万5000円の税負担減となります。

注意したいのは、要件を満たせば、両親ともにこの控除が使えるということ。夫婦どちらか一方しか使えない扶養控除のイメージから、どちらかしか申告できないと思い込んでいる人がいるかもしれません。所得金額調整控除は、夫・妻どちらも使うことができますので、共働きの世帯は申告漏れのないよう注意してください。

具体的には、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の所得金額調整控除欄(図表3参照)への記載をおすすめします。

(※)「23歳未満の扶養親族がいる」の他に、「本人・同一生計の配偶者・扶養親族に特別障害者(身体障害手帳1・2級などの障害が重い人)がいる」場合も対象となります。

【図表3】ここの欄への記載がないと「所得金額調整控除」の適用漏れに