確定申告をする必要がある会社員は?
先述しましたが、年末調整で処理できない所得控除に「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」があります。これら3つの控除に該当する人は、会社員であっても自分で翌年の3月までに確定申告する必要があります。
また、住宅ローン控除を申告する1年目の人(2年目以降は年末調整で申告できます)、12月末までに会社を辞める人、年間の給与総額が2000万円を超える人は、年末調整の対象外となり、自分で確定申告をする必要があります。
加えて注意したいのが、副業や投資など「本業以外の所得」が20万円を超えると、確定申告をする必要があるということ。
最近投資を始める人が増えていますが、「NISA」や「特定口座(源泉徴収あり)」以外の口座で取引した株式や投資信託の利益が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
ちなみに、ここでいう所得とは、収入金額から経費を差し引いた利益に相当する部分のこと。物品販売であれば売上げから仕入れにかかった費用や、送料などを差し引いた金額が所得となります。投資における所得も、取引のために購入したパソコン、本、セミナーなどを経費として差し引くことができます。
申請し忘れた控除は「確定申告」で申告可能
最後に、年末調整で申請し忘れた控除があった場合をみておきましょう。
もちろんその控除はもう使えない……というわけではなく、①1月末までに会社に申し出て再年末調整処理する、もしくは②自分で確定申告することで申請できます。
①の場合、年末調整のやり直しができるのは、源泉徴収票が従業員に配布される翌年1月末日まで。ただ、各種の事務処理がやり直しになるため、勤務先からは歓迎されない可能性があります。
②の場合は、勤務先にやり直しを申請せず、1月末に源泉徴収票を受け取ったうえで、その源泉徴収票に反映されていない所得控除を自分で確定申告書に追記します。
2025年の確定申告の期限は3月17日(月)までです。いずれにせよ、控除の適用漏れは一手間かかってしまいますので、年末調整で確実に控除を申請しておくと良いでしょう。
構成=ファイナンシャルライター 瀧健
関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。