悲壮感に満ちた強い責任感

その後も石井さんは一貫して、ソ連同様、官僚が支配する日本社会を、国民の手に取り戻したいと考えていました。その信念と民衆への愛は、死ぬまで変わらなかったと思います。

泉房穂『わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇』(集英社新書)
泉房穂『わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇』(集英社新書)

「弱い者を助け、民衆の側に立つ」「民衆と一緒に政治を変えていく」

私が石井さんに感動したのはそこで、私は会ったことはないのですが、おそらく彼の師である江田三郎も同じものを持っていたと思っています。

そして会った当時から石井さんには、すべてをひとりで抱えこむような、一種の悲壮感に満ちた強い責任感が感じられました。「ああ、この人は本物だろうな」という本能的な感覚です。一緒に活動してきた一年間、毎日行動をともにする中で、私は政治家・石井紘基の薫陶を受けていたように思います。

泉 房穂(いずみ・ふさほ)
前明石市長

1963年、兵庫県明石市生まれ。東京大学教育学部卒業。NHKディレクター、弁護士を経て、2003年に衆議院議員となり、犯罪被害者等基本法や高齢者虐待防止法などの立法化を担当。2011年に明石市長に就任。特に少子化対策に力を入れた街づくりを行う。2023年4月、任期満了に伴い退任。主な著書に『社会の変え方』(ライツ社)、『子どものまちのつくり方』(明石書店)ほか。