対話式AIの類語力に納得

一歩進んだ文章表現をするために、「類語」の活用は必要不可欠です。同じ意味の言葉でも、さまざまな言い方を駆使することで、表現力を深めることができます。

たとえば、「簡単」という言葉を「朝飯前」に言い換えるだけで、気の利いた表現だと読者に印象づけることができます。

前のページで、言い換え表現を見つけたいときは「類語辞典」が有効であると書きました。最近では、ChatGPTなどの生成AIが、類語のアイデアをたくさん出してくれます。これらをうまく活用することで、硬軟織り交ぜた、さまざまなニュアンスを持つ言葉を見つけることができます。

「重要」という言葉を例にとりましょう。

ChatGPTのウェブサイトを開き、「ChatGPTにメッセージを送信する」の部分に「『重要』という言葉の類語を10個出してください」と入力してみます(ChatGPTをはじめとする対話式のAIシステムに指示や質問を入力することを「プロンプト」と言います)。

すると、次のような結果が出てきました(以下に紹介するChatGPTの検索結果は、書籍執筆当時のものになります)。

類語例
大切 重大 必要 本質的 肝要 欠かせない 不可欠 基本的 意義深い 決定的

「どれも納得!」「その手があったか!」と膝を打ったのではないでしょうか。こうした言葉をどうタイトルに生かせるかと思うと、ワクワクしますね。それぞれの言葉が持つ微妙なニュアンスを駆使して、表現の幅を広げていきましょう。

ChatGPTは強力なパートナー

もう一つ、「流行っている」という言葉の類語も探してみます。

先ほどと同じように、「『流行っている』という言葉の類語を10個出してください」と入力してみましょう。すると、次のように、ポップなカタカナ語を交えた、幅広い表現を提案してくれました。

類語例
人気がある ブーム トレンド ヒットしている 盛り上がっている 流行中 話題沸騰 注目されている 旬 流行真っ只中

これで10通りのタイトルが作成できることになります。

ただ単に「流行っている」という言葉ばかり使うのではなく、色々な類語を意識して使うことで、ライティングの質をグイグイ上昇させることができます。

東香名子『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)
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また、AIを用いることで、自分では思いつかなかった表現やアイデアに出会うことができます。あなたのクリエイティブな世界が広がり、今まで考えつかなかった新しい視点からアプローチできるようになるでしょう。ChatGPTは単なるライティング補助ツールではなく、書いて表現するプロセスに欠かせない、強力なパートナーの一つです。

空いた時間で、気になる言葉やよく使う言葉の類語をChatGPTに聞いてみましょう。たくさん利用して、仲良くなることです。もちろん、類語辞典のほうが使いやすいという方は、そちらを活用してもOKです。

身近なツールを使いこなして、さらに魅力的なタイトルをどんどん生み出していきましょう。

東 香名子(あずま・かなこ)
コラムニスト

鉄道コラムニスト。メディアコンサルタント。外資系企業、編集プロダクション、女性サイト編集長を経て現在フリー。編集長時代、月間アクセス数を650倍に伸ばす。All About旅行ガイド。メディア出演多数。著書に『超ライティング大全ー「バズる記事」にはこの1冊さえあればいい』ほか。