手にとって持ちやすさや重さを確かめてほしい

どのタイプでも、厚みがあるほど耐久性が高いがその分重みも増す。また、柄の長さでも手に感じる重さが変わり、短い方が重さを感じにくい。収納の際に場所を取らない、柄が引っかかってひっくり返すリスクも少なくなる。最近は、鍋替わりに使う人が増えたこともあり、深めで底が広いフライパンが人気だ。家庭用で人気のサイズは直径24cm、26cm、28cmである。

飯田社長は、「これからフライパンを買う方は、ぜひ実店舗で手に取って持ちやすさや重さを確かめてください。インターネット通販の場合、正確にサイズと重さが記してありますが、手に持った感覚までは説明がありません。手に一番なじんだものを選ぶと、相棒のように仲良くなれる道具になるかもしれません」と話す。金属製のフライパンは、荒物屋(金物屋)やニトリ、かっぱ橋道具街のようなプロ向けの専門店街やこだわりの道具店で扱っていることが多い。インターネットでお近くの専門店を確認して行ってみよう。

素材によって、こんなにもフライパンの長所短所は違う。道具の使いやすさは、料理の得意不得意にもつながる。ぜひ、これらの特性を理解したうえで、自分が欲しいフライパンを見つけて欲しい。料理が楽しいか苦痛かも、実は道具の力が大きいのだから。

阿古 真理(あこ・まり)
生活史研究家

1968年生まれ。兵庫県出身。くらし文化研究所主宰。食のトレンドと生活史、ジェンダー、写真などのジャンルで執筆。著書に『母と娘はなぜ対立するのか』『昭和育ちのおいしい記憶』『昭和の洋食 平成のカフェ飯』『「和食」って何?』(以上、筑摩書房)、『小林カツ代と栗原はるみ』『料理は女の義務ですか』(以上、新潮社)、『パクチーとアジア飯』(中央公論新社)、『なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか』(NHK出版)、『平成・令和食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)、『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。』(幻冬舎)などがある。