幸せなお金持ちは即効性への期待を捨てている
繰り返しになりますが、幸せなお金持ちと幸せでないお金持ちの違いは、「見えない価値」を大切にしているかどうかです。
「人脈」や「将来性」「日々の進歩」は見えません。そしてさらに幸せなお金持ちに共通していることは、即効性への期待も捨てているということです。成果を最大化する「見えない資産」の複利効果は長期にわたり価値を生み出します。
まずは良い選択をし、小さな努力を続けることが重要です。小さな選択や毎日の習慣、学び、心がけは、すぐに結果をもたらすものではありませんが、継続することで、複利効果によって大きな報酬をもたらします。
最近、私たちが学校を卒業して社会に出た後も、必要に応じて学び直す「リカレント教育」という言葉をよく耳にします。2018年の厚生労働省の資料によると、社会人になってから何かを学んだ経験がある人は約20%に過ぎません。
さらに、2022年の文部科学省のデータでは、日本の修士号取得者数は、米国、ドイツ、フランス、英国、韓国の平均と比較して約6分の1にとどまり、人文・社会科学分野の割合も非常に低いことが示されています。また、日本は高度外国人材にとって選ばれにくい国になっているとの指摘もあります。
OECDの「Dashboard on Priorities for Adult Learning」や「Future-Ready Adult Learning Systems」(2019年)によれば、日本では大学や大学院の正規課程で学ぶ社会人の割合が非常に低いです。一方で、YouTubeやインフルエンサーから手軽に知識を得ようとするビジネスパーソンの需要は増加しており、私たちが忙しいからこそ、じっくりと学ぶ時間がなく、「ファスト教養」に頼ることが増えているのかもしれません。
幸せなお金持ちの共通点は、知識をたくさん詰め込むことではなく、視点を増やし、判断の感度を高め、人生の選択を広げることです。学び直しは、支出するお金の大小にかかわらず、地域活動、子育て、人との会話、ニュース視聴など、日常の経験から感度を高めることができます。一番大切なのは、仕事を続けながら学ぶことです。
税理士29年、起業21年目。山口県の起業一家に生まれ社長を支えたいと大学院卒業後25歳で税理士に。経済学修士・商学修士・MBA(豪州)。アーサーアンダーセンなど世界4大会計事務所を経て2003年会計事務所を創業。YojiYamamoto、ダイエーなど100件以上の大型再生案件を税務チームとして担当。日本有数のお金持ちの領収書1000万枚以上や申告から共通するお金の使い方と価値観を発見。栄枯盛衰を見た学びから、税金の正しい知識と自分資産を継続的に積み上げることの大切さを伝えている。明治大学や会計大学院での特別講義、東京都年収の壁セミナー講師、東京商工会議所税務相談員を務める。2023年フジテレビ「めざまし8」専門家出演。