未成年の子をもつ専業主婦の家事労働はもはや過労死レベル
このグループは、労働時間と家事育児時間を足すと非常に忙しい人たちでもあります。忙しい上に経済面でも住宅ローンを抱えていることが多く、自分の余暇や文化活動には時間もお金も割かない、あるいは割けていない――。アンケートからはそんな姿が浮かび上がりました。
次いで多かったのが、10.1%を占める「労働者階級の夫を持つ専業主婦」です。夫の収入が多くて働く必要がない人たちだろうと思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。このグループの夫の平均年収は406万円で、先ほどのパート主婦の夫の年収を10万円程度しか上回っていないことがわかっています。
ではなぜ専業主婦なのか。最大の理由は「子どもが小さいから」です。まだ手がかかるけれど夫が仕事で忙しく、家事育児のほぼすべてを自分が担わざるを得ない。その意味では、働きたくても働けない人たちと言っていいでしょう。
実際、この人たちは全グループの中で最も家事時間が長く、平日に家事をする時間は507分、週末は486分にものぼっています。さらに18歳以下の子どもがいる人に限れば、それぞれ725分、703分にも達します。12時間近くにもなり、一般的な会社員の労働時間の場合でいえば明らかに過労死レベルです。
「女性は家庭に入るべき」と信じ主婦になったわけではない
この2グループの人たちは、自らパート主婦や専業主婦を望んだのでしょうか。これも必ずしもそうではありません。労働者階級の夫を持つパート主婦と専業主婦が「男性は外で働き女性は家庭を守るべき」という古い価値観を持っているかどうか調査したところ、そう考える人の割合は前者で約23%、後者では約32%でした。他のグループに比べれば高い割合ではあるものの、実に7〜8割の人はそう思ってはいないのです。
一方で、女性の就業率は年々高まっています。例えば1975〜84年生まれの女性は、2015年の調査時点で31〜40歳。この世代の結婚2年前の就業率は約88%。しかし、結婚1年後には49%にまで、長子出産1年後には約34%にまで急落しています。
それ以前に生まれた女性と比べても、最初の就業率こそ高いものの長子出産1年後の就業率は大差なく、数%程度しか変わりません。ここ5年ほどでようやく出産後も働き続ける女性が少し増えてきましたが、1984年以前に生まれた女性では、大半が結婚や出産を機に仕事を辞めています。