コロナショックで残った「悔い」

その後、アベノミクスに乗り遅れながらも、なんとか投資に復帰し、投資資産も順調に増やしていきました。

そこで遭遇したのが、コロナショックでした。

コロナショックとは、新型コロナウィルス感染症(以下、コロナ)の爆発的な流行による、2020年2月頃からの世界的な経済混乱、そして市場暴落のことです。

それまで2万円を大きく上回る水準で推移していた日経平均株価ですが、事態が深刻になってきた2020年2月下旬あたりから一気に下落を始め、あれよあれよという間に節目の2万円を割り込み、3月中旬には1万6000円台にまで下落。

わずか1カ月足らずで8000円程の暴落となったのでした。

しかし、このときはリーマンショック時とは違って、私は、狼狽して売ることはありませんでした。なぜなら、リーマンショック時の反省を活かし、また、FPとして普段からアドバイスをしている「投資は余裕資金で」という投資の基本を、自らしっかり実践していたからです。

結果、株式等のリスク資産は、資産全体の3割程度に留めており、株価暴落による損失は、比較的浅く済んだのでした。

また、自身の基準で、ずっと応援したいと思える銘柄を吟味して購入しており、「保有銘柄については、基本的には売らない(一生涯保有し続ける)」との、確固たる投資スタンスを確立していたことも、歴史的な暴落にも狼狽えなかった理由でした。

その後、ほどなくして相場が回復し、狼狽売りをしなかったことには自画自賛できたのですが、悔やまれたのは、「暴落時に、買いに向かう」ことができなかったことです。

暴落時には、優良銘柄であっても関係なく、とにかく理不尽に叩き売られるものです。

実際、叩き売られていた銘柄の中には、私が吟味の上、ぜひとも購入したいと思える優良銘柄も多くあり、「今がチャンス」であることは、頭では分かってはいました。しかし、コロナ禍という未曽有の大混乱に、狼狽売りを避けることはできても、買いに向かうことまではできなかったのでした。

コロナウイルスの発生による日本の経済危機
写真=iStock.com/Wirestock
※写真はイメージです

今回の歴史的暴落で、買った銘柄

そして、次の歴史的暴落は、冒頭で触れた、今年8月頭の暴落です。

今回の暴落については、日銀のサプライズ利上げが大きな要因とはされていますが、アメリカの景気後退観測も大きな要因ですし、緊迫する中東情勢も無視できません。また、海外投資家の投機的な売買こそ、一番の要因とする声もあります。

ですので、リーマンショックやコロナショックのように、まだ正式な暴落名称(?)はありませんが、市場最大の下げ幅のインパクトは凄まじく、間違いなく、後世に語り継がれる歴史的暴落と言えるでしょう。

さて、私はもちろん、今回の暴落でも、狼狽売りをすることはありませんでした。

その理由は前述の通り、すでに「投資は余裕資金で」「保有銘柄については、基本的には売らない」といった、確固たる投資スタンスを確立していたこと、そして今回は、(過去最高値を更新する国内株式相場もあって)ある程度の含み益があったことも、ドッシリ構えることができた大きな理由でした。

そして、今回の暴落では、前回のコロナショック時の反省を活かし、前々から狙っていた銘柄を買うこともできたのでした。

具体的には、日本が誇る飲料メーカー「キリンホールディングス」、株主優待が魅力の「フジオフードグループ」「壱番屋」、そして災害関連銘柄として「萩原工業」、さらには「三井住友建設」「五洋建設」「ビーアールホールディングス」など、低位の建設・インフラ株を複数単位、果敢に買いに向かったのでした。

いずれの銘柄も、早く購入したいと思いつつも、なかなか株価が下がらずにうずうずしていただけに、今回の暴落を機会に購入できたときは、非常に満足でした。