まさかの安値で、購入するためには

それは、購入したい銘柄について、「ある程度、株価が下がったところで買いたいな」といった曖昧な基準ではなく、「○○円になれば買う」と、購入する価格を明確にしておくことです。

そして、来るべき暴落時に備えて、あらかじめ、その価格での指値注文を入れておくことです。

その際、その指値注文は、現在の株価から多少下がったところの価格ではなく、十分に満足・納得できる価格にすることを意識しています。多少下がったくらいの価格では、約定後、(とくに大暴落時には)そこからさらに大きく下がる可能性が高く、今回と同じ失敗となるからです。

ですので、多少の暴落ではここまで下がることはないだろうと思えるくらいの価格、もし買うことができたらラッキーと思えるくらいの価格で注文している銘柄も少なくありません。どうしても早くに買わないといけない事情があれば別ですが、通常、一般の個人投資家であれば、(常に投資することを義務付けられるプロと違って)そんな縛りなどありませんからね。

そして、その価格設定は、冷静なときに、しっかりと考えることが大切です。

いざ暴落に直面すると、いくら事前に心がまえをしていても、なかなか冷静に考えることは難しいですから。

歴史的暴落は、いわゆる超バーゲンセールでもあります。

まさかここまで下がることはないだろうとの価格で注文していても、そのまさかの価格で買えてしまうこともあるのです(実際、今回の暴落では、それを実感した人も多いのでは?)。

ただし、株式の売買注文には有効期限(*)があるので注意が必要です。

ようやくやってきた暴落時に、有効期限が切れていては(注文が失効していては)、悔やんでも悔やみきれませんよね。

来るべき暴落時のためのルーチン作業として、定期的な注文発注作業は怠らないようにしたいものです。

*証券会社により異なり、最長で1カ月程度

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー

1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。