自分の成功や努力を素直にたたえられないとき

「自分なんてダメだ」と内心思っている謙遜さんは、人から「すごいね」といわれると反射的に「とんでもない!」と否定してしまいます。自分に厳しいので、もちろん自分自身をほめるのは至難のワザ。

でも、ほめ言葉に否定してしまうと、相手の好意を拒否してしまうことにもなりかねません。またこれまでお話ししてきたとおり、自分で自分を認めるのは、すこやかに生きるための基本。次の切り替え言葉をぜひ活用してください。

謙遜さんフレーズ
「こんな私をほめられても……。私って普通だから」
「自分だけの力で成し遂げられたわけじゃないので……」
「そんなことないです。たまたまです」

切り替えフレーズ
「自分をほめてくれたことに感謝しよう」
「みなさんのおかげでがんばれました」
「そんな……でもありがとうございます」

自分のために行動できないときや、自分の気持ちがわからないとき

いつも周りに気を使って、あれこれと動き回っている謙遜さん。

田中遥・加藤紘織『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)
田中遥・加藤紘織『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)

「他人優先、自分はあと回し」が基本になっているので、自分の気持ちは無意識に押し殺してしまいがちです。

ですから、時には「私って、なにを望んでるんだっけ⁉」と、ふと我に返ることもあるかも。

あるいは、「人の世話ばかりしてないで、たまには○○さんの好きなことをやったら?」といわれて、「えぇ⁉ そういわれても困る!」と思った経験もあるかもしれません。

それは、自分の望みや感情がわからず、「他人軸モード」になっている状態。そんな謙遜さんが「自分軸」に戻れる切り替え言葉です。

謙遜さんフレーズ
「いつも損な役回りだけど、しょうがない」
「相手が喜んでくれるなら、私が我慢しよう」
「『あなたはどうしたいの?』と聞かれてもよくわからない……」

切り替えフレーズ
「誰かのためでもあるけれど、自分の成長にも役立っているはず」
「他人の期待に応えることばかり考えず、自分の理想に向かって進んでみよう」
「今は質問に答えられないけれど、これから挑戦していこう」

周りの状況に振り回されていると感じるとき

謙遜さんは、周囲の状況に気がつきすぎるせいで、場の空気や相手の態度に影響を受けやすいのも特徴。その結果、人の言動に振り回されたり、自分を犠牲にして他人のために奔走したりしがちです。

「みんなにとっていい状況をつくりたい」「相手を大切にしたい」という思いが強いのは素晴らしいのですが、結果的に自分を苦しめてしまっては本末転倒ですね。

なによりも大切なのは自分自身。次の切り替え言葉で、自分の幸せを真っ先に追求していきましょう。

謙遜さんフレーズ
「周りの人が喜んでくれなかったらどうしよう」
「今は少し無理をしてでも、人に尽くさなければ」
「毎回○○さんの発言に振り回されて疲れちゃう……」

切り替えフレーズ
「みんなの幸せも大切。でも、自分の幸せも同じくらい大切だ」
「自分のできる範囲で、人を助けよう」
「○○さんに振り回されているから、今度は提案してみようかな」

田中 遥(たなか・はるか)
ベスリクリニック院長・心療内科医・産業医

福島県立会津高等学校、東京慈恵会医科大学医学部卒業。ベスリクリニック、ベスリTMS横浜醫院にて勤務。医師、産業医としてビジネスパーソンのメンタルヘルスに従事している。単に病気がよくなる医療ではなく、どのように生きるかを追求する医療を目指している。医療法人ベスリ会理事長。

加藤 紘織(かとう・ひろお)
保健師・看護師

1996年、茨城県古河市生まれ。高校卒業後、家族が病気を患い入院したことをきっかけに、人々の健康を支える看護師を志す。また保健師の資格を取得。現在、ベスリTMS横浜醫院にて、保健師、看護師として勤務。睡眠外来、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)などのケアに従事している。