タワマンは「賃貸」で試してみるといい

不動産会社の方とお話ししてわかったのですが、佐竹さんのように、タワマンを買って後悔している方は少なくないそうです。そういった例を目の当たりにしていたこともあり、不動産会社の方は、まず賃貸でタワマンに住んでみることをおすすめされているとのこと。

洗濯物やエレベーターの例のように、住んでみて気づくことは多々あります。地域の利便性、家の使い勝手、周辺の教育環境などなど、生活を通してタワマンを見ることで、高額なお金をはたいて買うに値するマイホームかどうか考えてみるのは、非常にいい方法だと思いました。

家の購入には慎重にも慎重を重ねて、と思うのは、私が今、家の売却ができずに困っているケースをお聞きしているから、というのもあります。この方はコロナ禍でリモートワークがスタンダードになった際、家に広さを求め、神奈川県の郊外に一軒家を買われた方でした。

最寄り駅から徒歩30分の中古の一軒家で、かなり傷みも激しかったものの、メンテナンスをして快適に暮らしていました。しかし、平常運転となった今、やはり都心での暮らしが懐かしくなったことで買い替えを希望しているものの、一向に買い手がつかないのです。

タワマンもリモートワークも、社会的な潮流の中で生まれたライフスタイルともいえます。その中で、自分軸を持って、長期的な目線に立てるかどうか。マイホーム選びの極意を学んだご相談でした。

構成=小泉なつみ

高山 一恵(たかやま・かずえ)
Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士

慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書は『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年前後のお金の強化書』(きんざい)など多数。FP Cafe運営者。