洗濯物にエレベーター、住んで気付いた難点
また、実際に住んでみて、想定外の住みにくさを感じた点もあったそう。そのひとつが、「洗濯物」。洗濯物を外に干すことが禁止されているため、乾燥機を使うことに。電気代もかかります。佐竹さんは「洗濯物の心配をするなんて入居するまで想像もしていなかった」と話します。
加えて、タワマン住民からよく耳にするのが、エレベーター問題。上層階にいけばいくほどエレベーターがなかなか来ないので、「地味に毎回イライラしちゃう」と、タワマン最上階に住む方から聞いたことがあります。また、最上階は地震の揺れ方もかなりのものだそうで、地震対策がしっかりなされた構造であっても、かなりの恐怖を感じるとのことでした。
災害とタワマンといえば、2019年、台風19号の影響で川崎市にあるタワーマンションの電気設備が浸水し、全棟が停電。600世帯以上が停電と断水に見舞われる事態がありました。これを機に、タワーマンションにおける危機管理のあり方も見直されるきっかけになりましたが、購入前にさまざまな可能性を考慮しておかなければいけません。
子供の中学受験も控え、家計は厳しくなる一方
佐竹家の家計の話に戻ると、ローンは月々約18万円でしたが、ここに修繕積立金・管理費を含めると、約22万円になります。年収1000万円の場合、税制的な優遇も受けづらく、ボーナスもならすと、月の手取りは60万円ほどになるので、家のお金を払った残りの生活費は38万円。
小学5年生になったお子さんは中学受験を見据えて進学塾に通っており、これから本格的に教育費がかかってきます。昨今の物価上昇に加えて、ご近所との交際費もばかにならず、今後は修繕積立金もじわりじわりと増えていき、変動金利も上がりそうな中、まったく余裕はありません。
しかし、そんな経済的不安要素がさまざまある一方、豪華な設備が使えなくとも、一度手にした“タワマン住民”というステイタスや教育環境は手放し難く、佐竹さんは売却する勇気もなかったのです。