「ズボラ向け」に店内を改装し売り上げアップ

インスタへの投稿と時を同じくして、店内も改装しました。気軽に入店してさっと買えるように、惣菜売り場を入り口近くに配置。惣菜の種類を増やし、飲み物もテイクアウトできるようにしました。斗々屋で飲み物や弁当を買って、近くの鴨川や京都御苑へ散歩に行くような使い方をイメージしています。

テイクアウト用のお弁当
テイクアウト用のお弁当(写真提供=斗々屋)

カフェスペースも広げました。夜はワインバー兼レストラン「Pas mal」として営業しています。まずはカフェやレストランとして気軽に使ってもらうことから始め、徐々にスーパーとしても認知してもらうことが目的です。

「Pas mal」には時々「しっかりレストランDay」があり、梅田さんがシェフとしてキッチンに立ちます。この日はメニューにないものでも、店頭から好きな食材を選んで調理してもらうことができます。いろいろな食材があるスーパーならではの強みを生かした取り組みです。

改装して広くなったカフェスペース
撮影=山本奈朱香
改装して広くなったカフェスペース。売れ残った生鮮食品はここで料理に生まれ変わる

キッチンでは、売れ残りやすい食材をカレーやスープに調理し、瓶詰めした「はらぺこ」シリーズとして販売もしています。2024年3月からは離乳食シリーズも始めました。

店舗のリニューアルを実施したのが2024年2月。リニューアル前の1月と、リニューアル後の3月を比較すると、惣菜部門の売上高は2.3倍に増えたほか、イートイン部門の売り上げは91%増と、2倍近くに伸びました。青果部門も約20%増え、大きな変化があったそうです。梅田さんも「近隣に住む家族連れや年配の方が来られるようになりました」と話します。

この記事を書いている私も、最近斗々屋を利用するようになりました。ゴミ捨ての回数が大幅に減り、「ゴミが出ない生活ってこんなに楽なのか!」と驚きました。特に豆腐のパックや卵のケースはかさばっていたので、資源ゴミの量が激減。さらに野菜や果物を必要分だけ買えるようになったため、余った野菜を腐らせて冷蔵庫の奥底で残念な状態に……ということもなくなりました。「ズボラな人にこそ向いている」という言葉を実感する日々です。

サラダやカレーなども人気
撮影=山本奈朱香
サラダやカレーなども人気

めざすはコンビニ

斗々屋が次にめざすのは、家の近くにあって気軽に利用できる、コンビニのような存在になることです。遠方のお客さんからの「斗々屋が近くにあれば」との声を受け、全国に広めるためにコンサルティングに力を入れ、オンライン講座を開催。

「早くお店を増やしたいので、直営店にはこだわらず、ノウハウもどんどん渡します」(梅田さん)

斗々屋が商材を卸し、斗々屋のノウハウを使って運営する店を「トトフレさん」(斗々屋フレンズ)と呼んでいます。すでに北海道から沖縄まで全国に110店舗がオープン。中国地方や九州でスーパーを展開する「サンリブ」(北九州市)には、斗々屋京都本店と同じような形態の店舗「フォーアスproduced by 斗々屋」(サンリブ高須)もできました。

「トトフレさん」の店では、調理場を併設できない場合は生鮮食品を扱わない形にしてもらっています。売れ残りが出ると廃棄せざるをえないからです。