“現実離れ”レベルのゴミの量

「HELP」は京都市内で40年以上前からオーガニック食品を扱ってきた老舗です。商品管理部農産部門チーフの田中雅大さんは「横でつながっていって、一過性の“ブーム”じゃなくて多くの人びとの生活に根付いた“ムーブメント”にしていきたい」と話します。

田中さんが驚いたのは、斗々屋京都本店から出るゴミの量だそう。生ゴミは一斗缶1〜2個がいっぱいになるのに1週間程度かかり、プラスチックゴミの回収は月に1度だけ。「めちゃくちゃ少なくて、現実離れしているとしか考えられない量です」。また、食材を包装する容器代が不要になればお客さんにも還元できるため、HELPでは徐々に容器の削減にも取り組んでいきたいと考えているそうです。

利益率は「40%を切ったことがない」

斗々屋では、容器代や梱包するための人件費が不要なことに加え、加工して飲食部門で販売することで商品の廃棄が全くないこともあって、粗利率がオープン以来40%を切ったことがないそうです。全国スーパーマーケット協会などが実施した2023年スーパーマーケット年次統計調査報告書によると、スーパーが目標とする利益率の平均値は一般食品で19.8%、最も高い惣菜で37.8%。この値と比べると、驚異的な高さです。2024年は、さらに目標を高くして利益率47.5%を目指しているとのこと。

梅田さんは「お金をばりばり稼ぎたいという気はないんですが……」と笑いつつ、こう話します。「でも斗々屋が利益を出して実績を作らないと、このスタイルは広がらない。お客さんが斗々屋で商品を買ってくれれば買ってくれるほどゴミが減るので、スタッフにも『うちが儲かったら良いことしかないねんで。だから、とりあえず儲けよ』って言ってます」

牛乳パックやコンポストの回収をするなど「意識高い系」の活動も続けながら、ズボラな人にも使ってもらえる便利なスーパーマーケットをめざす。試行錯誤しながら、斗々屋の挑戦は続きます。

山本 奈朱香(やまもと・なすか)
ライター

京都生まれ。小学生の3年間をペルーで過ごす。大学院修了後に半年間バックパッカーで海外をめぐった後、2006年に朝日新聞社入社。青森総局、東京社会部、文化くらし報道部などを経て2023年に退社。関わった書籍は『「小さないのち」を守る』『Dear Girls』『平成家族』『調理科学でもっとおいしく定番料理』(いずれも朝日新聞出版)。ヨガインストラクターとしても活動。