指数上昇の恩恵を受けていない銘柄が多い
②特定銘柄への集中
2つ目のリスクは、米国株式に絡んで日本株に及ぶと思われるもので、特定の銘柄に買いが集中しているリスクである。
足元の株価上昇を詳細に観察すると、買われている銘柄が一部に集中しており、むしろ指数上昇の恩恵を受けていない銘柄のほうが多くなっている。
2024年に入ってから、同年3月8日までのTOPIXの上昇率は14.5%だが、TOPIX Core30、つまり、時価総額と流動性がとくに高い大手30社の上昇率は、同じ期間で測定すると、20.5%にもなる。TOPIXは時価総額加重平均型の株価指数なので、指数を引っ張っているのは大型株だ。中型指数と小型指数のパフォーマンスは5~6%台なので大して上がっていない。
また、日経平均株価はTOPIXと違って株価平均型の指数だが、株価が高い銘柄は時価総額も大きいので、TOPIXと同じ現象が日本株でも起きていると考えられる。
このように、株価の上昇が一部の銘柄に集中していて、市場全体にお金が入らない時は、特定の銘柄に何かあると相場が簡単に崩れるリスクが高まる。
米国株式の場合、エヌビディアがその典型例といってもいい。日本の場合、エヌビディアに該当するような銘柄はないものの、半導体関連株が下げ出したら、相場全体を大きく下に引っ張る恐れがある。
③中国株の動向
3つ目のリスクは中国株だ。それも中国株がバブル崩壊で大暴落するのもリスクだが、逆に大きく反発に転じるのも、日本株からすればリスクになる。
なぜなら今、グローバルな投資資金の流れで起きているのは、「日本買い・中国売り」というペアトレードだからだ。
中国株から逃げている資本が日本株に流れている。しかしこれから先、中国株が持ち直せば、日本株の上昇が止まるリスクが生じてくるのだ。
もちろん米中新冷戦が激化している環境で、中国株の上昇が長く続くとは思えないが、短期的には売られすぎの中国株が買われて、代わりに日本株が売られるシナリオを考慮すべきだろう。
ロイター通信の報道によると、米国の資産運用会社は中国株の反発に備えた新たなETF(上場投資信託)を投入しているようだ。レイ・ダリオが率いる世界最大のヘッジファンドである、ブリッジウォーター・アソシエイツも、中国株について強気の見方をしている。
現状においてPER(株価収益率)が12倍まで下がっている中国株が、魅力的に見えているのだろう。実際、2024年2月に入ってから、上海総合指数は底を打ち上昇に転じている。