あえて日本株のリスクを挙げるとすれば
日本株の上昇要因を挙げたが、もちろんリスクがまったくないというわけではない。日本株投資に関するリスク要因についても挙げておこう。
日本で株式に投資している人は、8人に1人くらいの割合だ。つまり多くの人は、「今から買っても大丈夫なのか?」と思っているし、日本株のポジションを持っている人でも、「今は売り時なのか?」と気になっていると思われる。それらの問いに答えるためにも、日本株が抱えているリスクを説明する必要があるだろう。
私は、日本株投資のリスクとして、3つ挙げられると思っている。
①景気低迷
中でも最大のリスクは「景気低迷」だ。
日本の2023年10~12月のGDPは、一次速報の0.1%減から0.1%増に上方修正されたが、一次速報のままだったら年率でマイナス0.4%、おまけに2四半期連続でマイナス成長になることからテクニカルリセッション(定義上の景気後退)に突入していた。ギリギリセーフとはいえ、今後も注意が必要だ。
日本の景気減速の最大の要因は「内需の弱さ」にある。
2023年は内需が落ち込み、前年比1%減で、そのうち堅調に見える住宅需要は、前年比4.6%の落ち込みだった。
住宅は、どの国においても重要なセクターである。なぜなら住宅を一軒建てると、さまざまな仕事が生まれ、建材、建機、家電、家具など幅広いセクターが恩恵を受けるからだ。また、住宅は他の消費の先行指数にもなる。そのため、2023年における内需の落ち込みが1%だったからといって安心はできない。時間の経過と共に、住宅需要の前年比であるマイナ4.6%程度まで、内需そのものが落ち込むリスクがあるからだ。
株式市場にとっても大きなリスクといえるだろう。
では、内需を補ってあまりあるだけの外需があるかというと、実はそれもあまり期待できない。日本は輸出大国だと勘違いしている人も多いが、すでに経済構造は大きく変わっていて、輸出依存度は15%程度とかなり低い。対して韓国やドイツの輸出依存度は40%程度もある。つまり日本経済は、かなりの程度、外需ではなく内需によって成り立っているのである。
そのため、内需の落ち込みが今後も続くようだと、今の日本株のバリュエーションを正当化できなくなり、株価が大きく下落するリスクが生じてくるのだ。