50代以降の人間関係は量よりも質

ですから、共感というのは、同情よりハイレベルな感情と言えます。

辛い目に遭った人の話を同情しながら聞くのはそれほど難しくはありませんし、それほど仲のいい相手でなくてもできます。

でも、相手が幸せになったときに相手と同じように喜ぶのはそれほど簡単ではないし、本当に仲が良い相手でなければできません。仲が良いと思っていた相手に、出世した話をしたらひがまれたとか、恋人ができたら嫉妬されたということもあり得ます。

それゆえ、お互いに共感の感情を持てる相手というのは、とても貴重なのです。

こういう存在を一人でも二人でもいいから、持つことが大事です。友人でもいいし、パートナーでも、同じ趣味を持つ仲間でもいいのですが、それが真に豊かな人間関係につながっていきます。

年齢を重ねた人にとって大事なことは、人間関係の量よりも質なのです。

人間関係の基準はここに

また、人間関係も、40代後半くらいから60代にかけて大きく変わっていきます。

一般的に、40代後半くらいまでは会社のなかでも出世競争があり、同期に負けて悔しい思いを感じたり、劣等感を抱いたり、卑屈になったりする人もいるかもしれませんが、50代半ばを過ぎると出世競争も一段落して、不思議なことに、出世している同期を心から応援できるようになる人も少なくありません。

たとえば、50代半ばで同期が専務になったら、「おまえは同期のホープだ。俺たちの分まで頑張ってくれよ!」と素直に言えるようになるなど、相手が自分の競争相手ではなくなって、利害関係が絡むこともなくなると、純粋に同期を応援したい気持ちが芽生えてくることがあります。

拳を突き合わせる二人の手
写真=iStock.com/marchmeena29
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他人と比較することなしに社会のなかで生きていくのはほぼ不可能ですし、人間的な成長に人との競争や自己研鑽は欠かせませんが、もう50歳を過ぎたら、もっと気楽に考えてもいいでしょう。

会社や社会の基準ではなく、自分の心の基準で生きていけばいいのです。