今の時代に必要なのは「多様性」だが
今の時代に必要なのは、「共感」や「一体感」よりも「多様性」です。それぞれがほかの人と違うことをすることで、チーム全体としては方向性の違うさまざまな可能性に賭けることができます。誰か1人が当たりを出せば、結果として全員を救うことになる。一見危なげなアプローチですが、実はこれが成功することも多いものです。
とはいえ、もちろんある程度は「チームのために」という貢献意識や仲間意識も必要です。それらがまったくないとなると、チームがチームとして機能しません。
しかし今では、昔のように「同じ釜の飯を食った仲間」的な同質性、共感性を求めることは、逆に害悪にしかならないことがあります。せっかく違う考え方をしている貴重な人を排除してしまったり、同調圧力によって同質化してしまったりしては元も子もありません。せっかくの多様性を排除してしまうことになります。
「すり合わせ」されたほうはたまらない
「本音」をさらけ出したらどうなるのか?
そんな中、上司が「本音をぶつけ合おうぜ」と部下に考えをさらけ出すよう命じたら、どんなことが起こるでしょうか?
もし両者の考えが違っていた場合、一体感や共感を希求する昭和世代はきっと「すり合わせ」を行なおうとすることでしょう。両者の考えのギャップを浮き彫りにして、どうすればそれを埋めることができるかと考え、場合によってはそこにある溝を埋めようと、自分の考えを押しつけ、説得し始めるかもしれません。しかし、そんなことは不要なのです。むしろ「してはいけないこと」だともいえます。特に新しい業界や領域においては、そもそも上司の考えが部下の考えよりも正しいかどうかさえ怪しいもの。「昔取った杵柄」は無用の長物かもしれないのに、「すり合わせ」されたほうはたまりません。逆に部下を萎縮させ、反感を持たれることにもなりかねません。