自分の仮説を持っておく

また、上司は「部下の本音はこうではないか」という仮説を持っておくべきです。もし「傾聴」や「観察」だけでは十分なことがわからず、本人に直接本音を聞くしかないということになっても、それは自分の仮説を持った上での「確認」でありたいものです。

私も上司として人に言えた立場ではないのですが、できることなら、部下に「本当はこう思っているのじゃないか」と打診してみて、「えっ、なぜそう考えていることがわかったのですか⁉」と驚かせてみたい。仮説の証明です。それができて初めて、一流の上司だと胸を張ることができるのだと思います。

【コーナーまとめ】
・今の時代に必要なのは、「共感」や「一体感」よりも「多様性」。
・若い人が上司を評価するときのポイントは「自分のことをきちんと見てくれている」かどうか。
・「部下の本音はこうではないか」という仮説を持っておく。
曽和 利光(そわ・としみつ)
人事コンサルタント、人材研究所社長

愛知県豊田市生まれ、関西育ち。灘高等学校、京都大学教育学部教育心理学科。在学中は関西の大手進学塾にて数学講師。卒業後、リクルート、ライフネット生命などで採用や人事の責任者を務める。その後、人事コンサルティング会社人材研究所を設立。著書に『人事と採用のセオリー』『人と組織のマネジメントバイアス』『「できる人事」と「ダメ人事」の習慣』『コミュ障のための面接戦略』『悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?』など。