家の外に居場所を持つ

3つ目のステップが、家庭の外に居場所を持つことです。

私はよく、「家庭の疲れは、家庭の外で発散してください」と伝えています。自分の趣味や居場所を持ち、自立していくことは、カサンドラ症候群にならないためにも大事なことです。

一般的に、人間関係に悩みを抱える人は、相手のことで頭がいっぱいになりがちです。ですから、まず相手に向けている視線を「自分」に向けるようにするのです。仕事に没頭してもいいし、お気に入りのカフェで一息ついたり、緑の多い公園で過ごしたりしてもいいでしょう。家の外に、自分がリフレッシュできる場所や行動を持っておくことが、一番の予防法であり治療法にもなります。

別居や離婚も選択肢の一つに

ただ、こうしたステップも、渦中で苦しい思いをしていると、なかなか実行できないかもしれません。その場合は、精神科医やカウンセラーなど、第三者に相談してみてください。一人で抱え込まないようにしてください。

誰しも限界はありますから、自分のキャパシティーを超えそうになることもあります。いろいろ試した結果無理だったならば、その場を離れ、相手と物理的に距離を取るしかない場合もあるでしょう。最終的には、別居や離婚を選択肢に入れてもよいと思います。

自分の心身の健康を犠牲にしてまで、一緒にいることにこだわる必要はありません。理想像からは離れるかもしれませんが、自分たちにとって最適な距離感を探してほしいと思います。その結果、別居や離婚ということになっても、それは決してダメなことではないはずです。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。