まずは特性を知ること
まずは、発達障害の特性を知ることが重要です。
カサンドラ症候群の人の中には、発達障害がどういうものか、よく理解していない人が少なくありません。まずは、自分が、相手のどのような言動にストレスを感じているのか、そして、相手はなぜ、そんな言動をするのかを理解しましょう。
もちろん、頭で理解しても、心が追い付かないかもしれませんが、特性を知ることで、相手の受け入れがたい行動や許せないふるまいの背景を知ることができます。納得はできないかもしれませんが、合点がいくようになれば、少なくとも「受け入れられない私が悪いのではないか」と自分を責める気持ちは和らぐでしょう。相手の言動を変えることはできないことについて、あきらめもつきやすくなります。つまり発達障害を知ることで、相手の言動に対する自分の受け止め方が変わってくるのです。
相手と自分の間に「境界線」を引く
2つ目のステップが、相手への期待値を下げて「境界線」を引くことです。
最初のステップで、発達障害の特性について知ると、相手の言動を変えることは難しいことがわかってきます。こちらが期待するような反応は、なかなか返ってこないのです。ですから、期待すればするだけ裏切られる苦しさも大きくなる。ですから、難しいことかもしれませんが、期待値を下げ、相手と自分の間に境界線をしっかり引くことを意識しましょう。
まじめで責任感が強く、思いやりや共感を大切にする人、自分のことを後回しにしてでも、相手のために何かしてあげたいと思う人は、どうしても相手に巻き込まれやすく、カサンドラ症候群にも陥りやすい傾向があります。境界線をひいて、ある意味突き放すような捉え方をすることに、罪悪感を感じてしまうのです。また、「夫婦、家族はいつも一緒に過ごすもの」といった「理想の夫婦像・恋人像」などを持っている人も、現実をそこに近づけようとして、余計に自分を苦しめてしまいます。
相手に対しては、「いちばん近くにいる他人」ぐらいの感覚でいるのが良いと思います。描いている、夫婦や恋人の「理想像」も、いったんあきらめた方がいいでしょう。「私は私、あなたはあなた」と境界線を意識して割り切り、自分の気持ちを大切にしてください。
そして、たとえば、今日何を食べるか、どんな服装をするか、何をして過ごすか、など、どんな小さなことでも、自分できちんと決めることを意識します。相手に引きずられたり振り回されたりすることで自分に対して抱えてしまっていた、無力感を取り除いてほしいと思います。