モデレイト思考が肝心

つまり、程よい時間軸(1〜3年程度)、程よい前向き感から成る「中庸」がベストだということです。

中庸を英語にすると「モデレイト」。物事を、良い意味で「適当」「好い加減」に捉える思考が大事になります。

「適当」「好い加減」は、もともとは良い意味らしく、辞書で調べると次のように書いてありました。

「適当」=ある状態や目的などに、ほどよくあてはまること。
「好い加減」=よい程あい。適当。ほどほど。(『広辞苑 第四版』岩波書店)

ほどほど……。ここが難しいところなのです。

図にしてみましょう。

あなたの思考のパターンは、図表3のどこに位置付けられますか?

自分の思考のクセを把握して、その逆方向にバイアスをかけ、適度な温度感、好い加減のモデレイトを目指してください。

合言葉は、「中庸、中庸、中庸……」。

三回唱えるクセをつければ、長年の思考のクセも解きほぐれてゆきます。

平井 孝志(ひらい・たかし)
筑波大学大学院ビジネスサイエンス系教授

東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。MITスローンスクールにてMBA、早稲田大学にて博士(学術)取得。ベイン・アンド・カンパニー、デル、スターバックス、ローランド・ベルガー等を経て現職。著書に、『キャリアアップのための戦略論』、『武器としての図で考える習慣 「抽象化思考」のレッスン』、『武器としての図で考える経営 本質を見極め未来を構想する抽象化思考のレッスン』など多数。