パニック発作で受診したほうがいいケース

パニック発作では全身が反応します。そのため「心臓発作を起こしたのかも」など、身体に原因があると思う人が多くいます。ですが実際には、脳が危険に対して激しく反応してしまっただけです。しかも実際に危険だったとも限りません。

たいていは狭い空間など、その時に「危険だ」と思われる場所で起きるので、そういった場所に恐怖を感じるようになり、避けるようになります。しかしバスや電車、地下鉄に乗らなければ移動できないので、日常に大きな問題が生じます。

自分で解決するのは難しいですから、必要なら治療を受けましょう。CBT(認知行動療法)ではパニックを起こさないように少しずつ、恐怖を感じるものと向き合う練習をしていきます。

どういうタイミングで受診するかは、他のメンタル面の症状でも同じですが、日常に問題が生じるようになったら受診した方が良いでしょう。あるいは、本来ならやりたいし、やって気分が良くなるようなことまで避けるようになった時です。

手で胸に触れる女性
写真=iStock.com/Yurii Yarema
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強い不安は扁桃体の勘ちがい

脳が進化した時代は危険が多く、あらゆる方向からリスクが降ってきました。現代では危険の種類が変わりましたが、脳はその変化についていけていませんし、私たちがまだサバンナで暮らしていると思っています。

テストの前に強い不安を感じたら、「扁桃体が勘ちがいしているだけだ」と考えてみてください。パニック発作も「警報器の誤作動だ」と思ってみてください。心臓は止まりませんし、窒息ちっそくもしません。とても不快ではありますが、「不安は危険なものではない」ということを覚えておくのが大事です。

しかし強い不安を感じるのは非常につらいことです。最悪の場合、不安に人生を乗っ取られてしまうこともあります。ですが多くの場合、不安を客観的に見るようにすると楽になり、不安にもまともな説明があることに気づきます。脳にしてみれば、不安は「危ないかもしれない」と警告する手段なのです。

不安は自然な防御メカニズムで、人類の歴史を通じて私たちを危険から守ってきました。ですから不安を感じるということは人間として正常に機能している証拠でもあるのです。不安を感じるのがおかしいということはありません。

私たちの脳は今とはまったく違った世界で進化しました。そのためにちょっと困ったことになるのですが、そこはどうしようもありません。そんな脳には優しくし、わかってあげる努力も必要です。私たちを生かしておくために必死でがんばってくれているのですから。