お金の不安の根本原因は「分からない」から行動しない
この「分からないことが、不安の元」は、まさに、お金の不安に関しても言えることです。
老後、やっていけるのか、不安。
住宅ローンを返していけるのか、不安。
子どもの学費を準備できるのか、不安。
このように、漠然と、将来のお金の不安を抱えている人は少なくありません。
しかし彼らの多くは、自身の状況が「分からない」がゆえに、とくに何も行動することなく(行動できずに)、世の中に氾濫する情報に振り回され、悶々とした状態のまま、不毛な日々を過ごしているわけです。
ちょっとした臨時収入があったり、昇進・昇給をしたときには、「まぁ、大丈夫だろう」と、根拠もなく楽観的になったりするでしょう。
急な出費が続いたりすれば、「これは本当に、将来、ヤバいのでは」と、急激に不安に襲われるでしょう。
このように、不安な状態では、その時々の状況に一喜一憂し、メンタルを消耗、そして不毛な時間を過ごし続けることとなるわけです。
お金の「分からない」を解決できるツール
では、そんな漠然としたお金の不安をなくし、メンタルの消耗・不毛な時間を避けるには、何をするべきか……それは、「分からない」をハッキリさせることです。
具体的には、キャッシュフロー表を作成することです。
キャッシュフロー表とは、現状の収支、ライフプラン(人生設計・将来の夢)に基づいて、将来の収支・資産残高を予想形式でまとめたもので、言わば、未来家計簿のこと。
たとえば、60歳の自営業夫婦。
貯蓄が2000万円あり、65歳での引退を考えているものの、年金の見込みが夫婦合わせて毎月10万円なので、不安で仕方がない状況だとしましょう。
しかし、何も行動しなければ、不安なままで、何も進展しません。
そこで、キャッシュフロー表を作成することで、将来のお金の状況をハッキリさせるのです。
作成したキャッシュフロー表(図表1)によると、今のままでは、引退後はみるみる貯蓄が減っていき、70歳過ぎには底をつき、75歳には1000万円を超えるマイナスとなるような、厳しい状況が判明しました。
なお、上記のキャッシュフロー表は、非常に簡素なものです。
本来は、物価上昇率や運用益も考慮し、また、支出項目もより細かく設定するものですが、ここでは専門的な知識がなくても作成できるよう、シンプルなものとしました。
しかし、そんなシンプルなキャッシュフロー表でも、将来のお金の状況はハッキリするのです。