受け取り方は3種類から選べる

50歳以降にiDeCoに新規加入しても、60歳以降も会社員や公務員として働き続けて65歳まで積み立てを続ければ、積み立て終了後すぐに受け取ることができます。

受け取るためには申請手続きが必要です。受け取りたいタイミングにウェブサイトかコールセンターを通じて手続き書類を請求し、振込先の口座情報などを記入し、添付書類と共に提出します。受け取り方法は大きく分けて3つあり、①一括で受け取る「一時金受け取り」、②分割して受け取る「年金受け取り」、③一部を一時金で受け取って残りは年金として受け取る「併給」から選ぶことができます。受け取り方法は申請の際に決めます。

受取額は売却時のマーケットの影響を受ける

受取額は運用結果次第、つまり自分が選んだ商品の運用成績次第で大きく変わるということになります。現在のiDeCo加入者の平均積立月額は1万6150円です。この額で40歳から60歳まで20年間積み立て、年利回り4%で運用できたとすると、60歳時点での資産残高は約590万円になります。受け取るというのは保有資産を売却することになるわけですが、その売却のタイミングは事務的に決められた日に行われます。

従って、すべて一時金で受け取る場合は売却日やその直前時期のマーケットの動向が受取額に大きな影響を与える可能性があります。タイミング悪く暴落相場に当たってしまったら目も当てられません。590万円のはずが、550万円や500万円になることもあり得ます。これを避けるためには、できれば受け取り手続きを行うより前の時期に、保有している投資信託を全部とは言わないまでも大半を売り、定期預金に変更するスイッチング(商品の預け替え)をしておくと安心です。

株式市場
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年金として受け取る場合は、保有資産の運用を非課税で続けながら、希望した受け取り回数などに応じて資産の一部を売却する形で取り崩し、分割して受け取ります(iDeCoの契約先が保険会社の場合は、保険商品を買って年金支払いをしてもらうという選択肢もあります)。

年金として受け取る期間は最短5年、最長20年から選べますが、契約する金融機関によって5年、10年、15年といった選択肢から選ぶケースと、5~20年の間で期間を自由に決めるケースがあります。さらに、保険商品を使った受け取りでは終身で受け取ることもできますが、現状の金利状況では保険商品に内包されている見えないコストが高くついてしまい、平均寿命まで受け取ったとしても受け取り手続き時点の資産残高を回収することができない可能性が高いのでお勧めできません。