消費に回せる金も減り日本経済は“負のスパイラル”のまま
可処分所得とは給与から社会保険料や税金などを引いた、いわば自由に使えるお金を指す。「40代男性で、専業主婦の妻と小学生の子ども2人」4人世帯の可処分所得を調べてみると、1990年が576万円だったのに対して、2020年では463万円となり、年間で113万円(約20%)も減少していた。2割も使える金が減れば、個人消費が低迷するのも当然だ。
バブル崩壊以降、日本企業は、グローバル化やIT技術の革新といった、新たな潮流に遅れをとってきた。企業が稼げなくなると、賃金が上がらず、消費が落ち込む。すると企業はさらに稼げなくなり、賃金も一層上がらない……こうした“負のスパイラル”が長年続いてきた。このスパイラルは、“不治の病”のごとく、四半世紀にわたって日本経済を蝕み続け、いつしか“稼げない中間層”が固定化するに至った。
日本の中間層はなぜかくも貧しくなったのだろうか。そして、負のスパイラルから抜け出すために、国や企業、そして個人はいったい何ができるのだろうか。