私たち大人は全員「時代遅れ」になっている
でも、子育てや教育の「○○するべき」「○○しないべき」は、多くの場合、ある人の過去の成功体験(あるいは失敗体験)に基づきます。さらに、その「過去」が、今とは大きくズレ始めているのです。しかも10年前のズレ幅に比べて、今のズレ幅はどんどん広がっています。さらに、これから10年のズレ幅は人類史上最大レベル……。
去年はなかった、人のように対話のできるAI技術がすごい勢いで普及しています。社会がどうなっていくか、だれにもわからない、未知のゾーンに入っていきます。いや、すでに未知の世界に入っていると言っていいでしょう。
この意味で、私たち大人は全員「時代遅れ」だと言っていいんです。
では、子育てにおいては、どうすればいいのでしょうか?
親御さんは、自分の中の「○○するべき」に早めに気づき、よく検証することです。お子さんを時代遅れの価値観で染めてしまわないように、なるべく「無色」でいて、おおらかに接していくことが、この後10年はものすごく大切になっていきます。
このような視点でも、自分の中にある「無意識の期待値」をチェックして、いたずらに自分を苦しめないようにしてくださいね。時代の変化への対応については、『令和時代の子育て戦略』(講談社)も参考にしてみてください。
MR(メンタル・レスキュー)協会理事長、同シニアインストラクター。1959年、鹿児島県生まれ。防衛大学卒業後、陸上自衛隊入隊。1996年より陸上自衛隊初の心理教官として多くのカウンセリングを手がける。自衛隊の衛生隊員(医師、看護師、救急救命士等)やレンジャー隊員等に、メンタルケア、自殺予防、コンバットストレス(惨事ストレス)コントロールについての指導、教育を行なう。2015年に退官し、現在は講演や研修、著作活動を通して独自のカウンセリング技術の普及に努めている。著書に『寛容力のコツ』(三笠書房《知的生きかた文庫》)、『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』(朝日新書)、『「気にしすぎて疲れる」がなくなる本』(清流出版)など多数。