「怒りのケア」の基本

① 休む

怒りっぽいのは、ご自身が疲れているから。この本質は無視してはいけません。睡眠をとるなどして、エネルギーを回復させます。

 

② 離れる

怒りは特定のターゲットを警戒し、そこに意識を集中させる機能があります。ターゲット(子ども、夫など)から離れる、「距離をとる」ことで、警戒がゆるんで、怒りの発生率も下がります。これによって相手を傷つけることも回避できます。

①、②の方法とも、毎日の生活の中では、なかなか実践するのが難しいところもあるでしょう。でも方向性として知っておいて、そのときの状況に応じた良い方法で、うまく対処していってほしいです。

重ねて言ってしまいますが、子育て戦場における「怒りのケア」の一般的ゴールは、「子どもや夫に当たらない」ことです。

これを「怒りを完全にコントロールする」「いつもニコニコしているママになる」などと設定してしまうと、無理を自分に強いて、結局できない自分を責めて自信を失い、「怒り」が増大していく……という負のループに陥ってしまいます。

くれぐれもご注意を!

子どもとじっくり遊んであげられない

Q 子どもとじっくり遊んであげることが苦手です。散歩や図書館に行くことでなんとかしていますが、子どもは私の知らないボードゲームで遊びたがるので苦痛です。

A 今は「自責スイッチ」がオンになっているかも。自分のケアをしつつ、状況をフラットに見て、自分の中の「期待値」と現実のズレを確認してみましょう。

この相談を先輩ママさんにしたら、おそらく答えは

「大丈夫よ! そんなの放っておけばいいのよ」

になるのではないでしょうか。

しかし、その回答でご相談者の気持ちはとうてい収まらないし、問題の解決にはならないでしょう。この悩みの本質は、「子どもとじっくり遊んであげる母親でありたい。でも自分はそうではない」という、この方の“思い”にあると感じるからです。

では、今なぜこのような思いで苦しんでいるかというと、疲れていて、子どもにつきあいたくない。あるいは、焦りが生じていてゆっくりした子どもの時間が苦痛に感じる。さらに、子どもが「ママ、なんで遊んでくれないの」と言っただけで、心が2倍3倍に反応して、自分を守るための怒りも生じてくる。そこに「自責スイッチ」もオンになっているから、そんな自分を責める思考が働き続ける……という状態になっているからでしょう。まずは自分自身をケアして、しっかり心身を休ませるようにしてください。

ブランコに乗る小さな娘を押す母親
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです