最終目標は「ママがうつにならないこと」
さて、クールな指揮官は、常に最終目標を意識しています。
本書でも、現代の「子育て戦場」におけるブレてはいけない「最終目標」を、明確に示しておきたいと思います。
それは、子育てをしていくにあたり、
「ママがうつにならないこと」
です。
言い方を変えると、「ママがうつになる」のが、一番避けなければならない事態。子育てをしていく中で、どのようにすればママ自身がうつにならないで済むのか。このステップでは、その方法を考えていきます。
「元気ハツラツなお母さんになる」
「いつもニコニコしている優しいママになる」
「仕事も子育てもバリバリこなして、人生を充実させる」
などといった目標は、ここでは掲げません。条件のいい方の個人的な目標としてはあり得るかもしれませんが、「無理ゲー」で表現した現代の子育てでは、一般的ではないからです。十数年先、子育ての最終ステージまで、お母さんが倒れずにいて、うつにならないこと。それが子育て戦場における、最重要かつ現実的な目標なんです。
お母さんの“うつ”は子どもにも影響が大きい
私は30年以上、多くのクライアントと、その親子関係に寄り添ってきました。
経験上、「お母さんが“うつ”になる」というケースは、そのお子さんにとっても影響が大きいのです。
子どもにとって、お母さんとは、この世界の最初の扉。その存在があるというだけでも、子どもの本能に、ものすごく安定感をもたらします。
ところが、そのお母さんに元気がなくて、「死んでしまうかもしれない」という雰囲気が醸し出されると、子どもは急速に不安に陥ってしまいます。
子どもの視点から見て、「この世界は怖いもの」となり、そこはかとない警戒心がいつも立ち上がっていく。一生を左右する、世界観に影響してしまう可能性もあります。こうなると、子どもの世界観だけでなく、親子関係もこじれてしまうんですね。
何度もお伝えしているように、現代の子育ては過酷ですから、お母さんは疲れ果てていて当然です。
「ママがうつにならないこと」
この最終目標だけをしっかり見定め、あなた自身の危機回避策を考えていきます。