管理職に向かない人は、専門職に
管理職に向かない人が管理職になると悲劇も起こりやすくなります。
この場合、管理職は諦めて専門職として遇します。これからの時代、会社の人口ピラミッドを三角形に維持することは難しいでしょうから、指揮・命令系統を維持するためにも主任・主幹とかエキスパートとか名付けた専門職の設定が不可欠でしょう。
課長補佐をケア要員に
職場の管理者は、先頭に立って仕事を引っ張る人だけでは足りません。
最後尾で人を守る人が必要です。
電車ごっこの「運転手は君だ、車掌は僕だ」と同じです。
前者が課長なら、後者は課長補佐。課ごとに配置できなければ、複数の課を受け持つ共同補佐でもよいでしょう。しんがりは隊列についていけない人が出たらその者を助け、誰かが欠けたときはその者の仕事を臨時に代行します。そのためには課長補佐は「無任所」でなくてはなりません。フリーだからこそ、人を助けたり代行したりすることができます。
ところが、近年の合理化(定員削減)で課長補佐が固有の仕事を持っていることが少なくありません。
課長補佐というより筆頭係長になってしまっています。これではヘルプに出られません。課長と補佐はワンセットであり、その職務あるいは立場を明確に分ける必要があります。
十数人程度の課であれば、体調不良者や仕事の歩調が合わない人が一人や二人はいるでしょう。
無任所職を置くなど一見無駄のように見えますが、実は大事な「無用の用」なのです。
司令官と副官は質が異なる
世の中には司令官に向いた人と副官に向いた人がいます。
司令官は情勢を見極めて方針を決め、それを組織の構成員に命令します。副官は司令官の方針に沿って必要な陣容を整え、兵站を掌ります。
両者のもとには参謀が何名もいて、意見を言ったり業務を分掌したりします。司令官と副官は性格がまったく異なります。
歴史的には、豊臣秀吉と弟の秀長、本田技研の本田宗一郎社長と藤沢武夫副社長の組み合わせが有名です。
副官は絶対に司令官の地位を狙わない。辞めるときも一緒です。だから司令官から全幅の信頼を寄せられます。
藤沢武夫氏の場合は本田宗一郎氏の実印まで預かっていたと言われています。近年の政治家では首相・中曽根康弘氏と官房長官・後藤田正晴氏のコンビが挙げられるでしょう(近年にもよく似た組合せがありました)。
ちなみに、私は100パーセント副官タイプです。自ら先頭に立つのではなく、誰かの後方で密かに役立つのが使命と心得ています。